皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

ポスト資本主義社会のデザイン――生活のデザインを生活者自身の手に取り戻すために

デザイナーという現代資本主義社会の生んだ職能の持つ矛盾を探る

試し読み

ご購入はこちらから

 

本書は現代のデザインのあり方に対する批判であるとともに、その背景にある現代資本主義社会への批判でもある。従来のデザイン論とはまったく異なる視点からのデザイン論である。いまデザインがかかえる問題は単にデザイナーという職能の問題だけではなく、それを含む社会全体のあり方に関わる大きな問題にまでなっている。(「はじめに」より)

買い替えが当然のように促され、エネルギー消費量や廃棄物が増え続ける現代社会。「持続可能な社会」と「経済成長」の間での対立的矛盾の中で、デザイナーが考えるべきこととは? 本書は、高度成長期に育ち、 工業デザイナー、そしてデザインの思考過程を主とする研究に取り組んできた筆者が、マルクスの資本論を手がかりに資本主義社会への疑問と矛盾の分析を試みる、まさに戦後デザイン史の「生き証言」である。

著者 野口尚孝
発売日 2022年11月9日
ページ数 456 ページ
定価 3,500円(+税)
判型 A5判上製
装幀・造本 藤巻亮一
カバー写真・
イラスト
野口尚孝
ISBN 978-4-7744-0775-3

目次

はじめに
第一部 生活のデザイン能力はどのように生活者から失われてきたのか?
第一章 問題提起
第二章 近代までのモノづくりの歴史と生活形態の変遷
第三章 二十世紀後半の東西冷戦下における社会生活形態とデザイン
第四章 二十一世紀の世界におけるモノづくりと生活形態の変貌
第一部のまとめ
第二部 生活者の手に取り戻すべき本来のデザインとはどのような能力か?
第五章 現代デザイン研究のあり方について
第六章 「デザインとは何か」をめぐって
第七章 「どうデザインするか」をめぐって
第八章 本来のデザインとはどのような行為なのか?
第二部のまとめ
第三部 生活者自身が生活のデザインを行なえる社会を目指して
第九章 ポスト資本主義社会に向けてのさまざまな試み
第十章 「ポスト資本主義社会」はどのようにデザインされるべきなのか?
おわりに
あとがき

野口尚孝(ノグチ・ヒサタカ)

1940年 東京都杉並区生まれ
1964年 千葉大学工学部工業意匠学科卒業
1964~65年 富士電機製造(株)開発部デザイナー
1965年 千葉大学大学院工学研究科修士課程入学
1967年 同上修了後、千葉大学工学部助手
1990年 イギリス・ブルネル大学客員研究員(4ヶ月間)
1995年 東京大学にデザイン発想支援システム研究に関する論文提出で博士(工学)取得
1996年 千葉大学工学部助教授
1998年 千葉大学大学院自然科学研究科環境形成科学専攻デザ イン計画講座教授
2003年 北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科教授
2005年9月 同上退職
2006~09年 (株)ジャストシステム デザインリサーチフェロー

日本デザイン学会名誉会員、日本認知科学会会員

共著:野口尚孝、井上勝雄『モノづくりの創造性─ 持続可能なコンパクトな社会の実現に向けて』(海文堂出版、2014年) 、分担執筆: 北陸先端科学技術大学院大学知識科学研究科監修『ナレッジサイエンス─知を再編する 81のキーワード』(近代科学社、 2008年) 、日本デザイン学会編『デザイン科学事典』(丸善、2019年)