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「悲しみ」は抗する 現代短歌と万葉の歌

戦争、災害、病、そして死。歌人が痛ましい現実を詠み続けるのは何故か。

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いつの時代も、社会や国家は人が「悲しみ」を引きずり過ぎることに否定的だ。しかし万葉の時代から現在に至るまで、多くの「悲しみ」が詠われてきた。市井の人々の短歌とは、忘却への抵抗でははなったか? 現代短歌と万葉集の接点を探る短歌評論集。

著者 岡部隆志
発売日 2024年4月4日
ページ数 304 ページ
定価 2,000円(+税)
判型 四六判並製
ISBN 9784774408255

目次

はじめに  7
第一章 何故「悲しみ」をうたうのか
うたい続けられる「哭き歌」  21
戦争と歌の力 鼓舞と慰霊  29
記憶と感情の錯綜 『無聊庵日誌』  35
「忘れる」ことに抗する情 福島泰樹歌集『百四十字、老いらくの歌』  40
何故「悲しむ」のか 窪田政男歌集『Sad Song』  47
第二章 万葉論
戦争と短歌 防人歌における「悲しみ」の成立  55
心情語論 「悲しみ」は貨幣でもある  79
「恋」は抗する なぜ「恋の障害」は母であり噂なのか  102
第三章 ローカルなものとしての短歌
ローカリティ短歌論  141
「歌の翼」に想う 福島泰樹歌集『天河庭園の夜』  152
『中原中也の鎌倉』を読みながら  158
中田實の短歌的身体 歌集『奄美』  162
第四章 あらわしえないから歌う
切実な「ふり」 野口綾子歌集『ジャパニーズガールズジャーナル』  171
歌はアンヴィヴァレンツ 大和志保歌集『アンスクリプシオン』  176
失われたもの、決して手にはいらないもの 松野志保歌集『われらの狩りの掟』  182
第五章 歌に生きる
「海語らず山も語らざる」の語り部 冨尾捷二を悼む  191
窪田政男短歌の魅力 窪田政男歌集『汀の時』  197
「生きて在る」ことへの旅 下村光男歌集『海山』  208
何故「自然」を詠むのか 幡野青鹿『うつろひのおと』・渡辺松男『牧野植物園』  218
第六章 抗することへの意志を秘めて
うしろめたさとユーモアと 佐久間章孔を悼む  233
重信房子の「実存」と抒情 歌集『暁の星』  238
時代を撃つ抒情 藤原龍一郎『抒情が目にしみる 現代短歌の』  247
文学の無用性と有用性 中井英夫『黒衣の短歌史』  254
「自己否定」の果て 高橋和巳『わが解体』  263
「弱さ」と「強さ」 重信房子『はたちの時代 六〇年代と私』  271
「天罰的思考」に抗する  283
あとがき  293
初出一覧  298

1949年、 栃木県生まれ 専門は、日本古代文学、近現代文学、民俗学だが、中国雲南省少数民族の歌垣 文化調査も行う。 歌人福島泰樹主宰の短歌結社「月光の会」に参加し、短歌誌『月 光』に短歌評論を書き続ける。 現在まで、 4冊の短歌評論集を刊行。

主な著作
『北村透谷の回復 憑依と覚醒』三一書房 1992年
『異類という物語 日本霊異記から現代を読む』新曜社 1994年
『言葉の重力 短歌の言葉論』洋々社 1999年
『中国少数民族歌垣調査全記録1998』工藤隆との共著 大修館書店 2000年
『古代文学の表象と論理』武蔵野書院 2003年
『聞き耳をたてて読む 短歌評論集』 洋々社 2004年
『神話と自然宗教 中国雲南少数民族の精神世界』三弥井書店 2013年
『短歌の可能性』ながらみ書房 2015年
『アジア歌垣論 附中国雲南省白族の歌掛け資料』三弥井書店 2018年
『胸底からの思考 柳田国男と近現代作家』森話社 2021年
『叛乱の時代を生きた私たちを読む』皓星社 2021年