子不語の夢と乱歩・不木を語ろう
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タイトル 素晴らしい出版物に感謝
投稿日: 2005/02/12(Sat) 14:21
投稿者小西昌幸(北島町立図書館・創世ホール館長/徳島)   <ktjsosei@mail.netwave.or.jp>
参照先http://www.town.kitajima.lg.jp/hole/bunka/200502.html

■失礼いたします。私は徳島の小西昌幸と申します。『子不語の夢』を職場の広報紙「創世ホール通信」2005年2月号の「文化ジャーナル」で紹介させていただきました。以下のような内容です。北島町のホームページでも読めます。よい本を刊行していただき、ありがとうございました。
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『子不語の夢─江戸川乱歩 小酒井不木 往復書簡集』
■本書は2004年暮れの読書界の話題をさらった本。「二銭銅貨」でのデビューまもない江戸川乱歩が先輩作家の小酒井不木〔こさかい・ふぼく〕に礼状を書いたのが1923(大正12)年7月1日のことで、不木は7月3日に返事を書く。それ以降両者は頻繁に文通を行なった。本書には1929(昭和4)年4月1日に不木が肺炎で亡くなるまでの両者の書簡(乱歩書簡33通、不木書簡120通)が収録されている。
■きちょうめんな乱歩は、不木からの手紙を一括製本し保管していた。不木に宛てた乱歩からの手紙は多くが散逸したが、それでもこれだけの手紙が残されたのはやはり奇跡的なことであるのはいうまでもない。何しろ70年以上も前の資料なのだから。
■本書の原動力となったのは、三重県名張市立図書館嘱託の中相作氏の構想力・実行力と人徳によるところが大きい。彼は、乱歩リファレンス・ブック三部作できわめて優れた業績を刻んだ人だ。今日、乱歩研究界で中氏の名を知らぬ者は誰一人いない。
■数年前、骨董市場から不木宛ての乱歩書簡約30通が出て、それを心ある古書店主が保護し、成田山書道美術館で展覧されて話題になった。ぜひそれの内容研究に踏み込んで、乱歩が保管している不木の手紙と対比してみたいものだと、中氏がご自身の運営されているホームページ「名張人外境」で書いていたことがあった。
■おりしも、三重県では松尾芭蕉生誕三百六十年を記念して「生誕360年 芭蕉さんがゆく秘蔵のくに伊賀の蔵びらき」事業なる不思議な名前の同時多発的地域活性化イベントが企画されていた。往々にしてこの種のものは、億単位の金をつぎ込んで、中央の広告代理店などの餌食にされ一過性のものとして終わってしまうことが多いことはご承知のとおりだ。しかし中さんは本書の企画を仕掛けて、せめて1つだけでも文化的文学的に意義あるものを実現しようと思いつく。思いつくだけなら誰でもやることだが、彼は1年ほどの間に最良最適任の研究家達を総動員して、書物の形として実現してしまったのだ。しかも東京の出版社を販売元にして全国流通させるという離れ業まで組み込んだのだから、私などただただあきれてしまうしかない。こんなにも有効な税金の使い方がほかにあるだろうか。いうまでもなく書物は腐らず、後々まで残り、売れれば元は取れる。NHKの「プロジェクトX」に取り上げられても、私は全く驚かないだろう。
■『子不語〔しふご〕の夢』という書名は、不木が乱歩に贈った書の言葉で、『論語』の「子不語快刀乱麻」に由来する。往復書簡の面白さはもちろんのこと、驚嘆すべき脚注の分量、行き届いた論考・解説など、内容にまで踏み込むといくら書いてもキリがないので、以下は書誌データのみ記しておく。
■『子不語〔しふご〕の夢─江戸川乱歩小酒井不木往復書簡集』中相作・本多正一 監修、浜田雄介編。A5判・上製・360頁。CD-ROM付き。定価4200円+税。2004年10月21日初版発行、同年12月1日第2刷発行。発売=皓星〔こくせい〕社
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■皓星社さまの御本は、寺島さんの『南天堂』を所有しております。あの本も立派なものでした。私は、グラフィック・デザイナーの日下潤一さんからご教示いただいて同書を買いました。突然お邪魔して失礼いたしました。


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