「病いの経験」を聞き取る ハンセン病者のライフヒストリー

A5判・並製・394頁 定価3,800円+税
2004年4月発行
ISBN4-7744-0366-0 C0036
装丁 藤巻亮一

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「病いの経験」を聞き取る 
      ハンセン病者のライフヒストリー

蘭 由岐子 著

ハンセン病者の「病いの経験」=主観的世界を、語り手との密な相互作用を通 して描き出す、気鋭の社会学者によるライフヒストリー論の労作。社会学の新たな可能性を切り拓く。


著者紹介
蘭 由岐子(あららぎ・ゆきこ)
1958年、兵庫県生まれ。1983年、奈良女子大学大学院家政学研究科修了。奈良女子大学博士(学術)。九州女子大学専任講師を経て、現在、賢明女子学院短期大学生活学科助教授。 専攻は家族社会学、質的調査法、医療社会学。
著書(いずれも分担執筆)に、『実践のフィールドワーク』(せりか書房、2002年)/『ソーシャルワーカーのための社会学』(有斐閣、2002年)/『情報生活のリテラシー』(朝倉書店、2002年)/『フィールドワークの経験』(せりか書房、2000年)などがある。

 

目次

第T部 ライフヒストリーを聞き取るということ

■序章 フィールドに出る、ライフヒストリーを聞き取る
                ―「わたし」の経験   
  1 はじめに――ハンセン病・ハンセン病療養所について
  2 なぜ「わたし」はハンセン病療養所入所者の聞き取りを
                   するようになったのか
  3 聞き取りという実践
         ――ハンセン病とかかわる「わたし」の経験
  4 ハンセン病療養所入所者からライフヒストリーを
                    聞き取るということ
  5 課題

■第一章 ハンセン病者研究の方法論的視座   
  1 ハンセン病者のなにに焦点をあてるか   
  2 「病いの経験」と「病いの語り」   
  3 ライフヒストリーの方法論  

第U部  ハンセン病者の「病いの経験」

■第二章 ハンセン病者にとっての「家族」   
  1 はじめに   
  2 ハンセン病療養所とその入所者の現況   
  3 入所者と家族   
  4 入所者にとっての「家族」とは

■第三章 「悔い」を生きる   
  1 ある論評   
  2 発病から療養所入所まで   
  3 結婚   4 在郷家族との関係   
  5 「後悔すること」の意味

■第四章 「正直に」生きる   
  1 独特のアイデンティティの表明   
  2 中山義和さんというひと   
  3 ハンセン病を病むということ、
          療養所で暮らすということ   
  4 中山義和さんのその後

■第五章 「六つの名前」を生きる   
  1 六つの名前   
  2 療養所入所以前
    ――○○チヅ、岩田加代子、大牟田与志、中井良子を生きる   
  3 療養所入所後――藤川チヅ、佐藤良子を生きる   
  4 戦後――中井良子、佐藤良子、そして藤川チヅを生きる
  5 むすびにかえて

■第六章 「社会」に生きる   
  1 ハンセン病者のサブカテゴリー   
  2 療養所退所者にインタビューするということ   
  3 うそをつくのが上手になった人生
    ――島田一成さんのライフヒストリー   
  4 不遇な人生――武内太郎さんのライフヒストリー
  5 静かな闘志――沢口明さんのライフヒストリー

■第七章 「訴訟期」を生きる   
  1 論理ではなく心情――原告にならない理由   
  2 原告になることの苦悩
    ――社会復帰者 沢口明さんの経験

■第八章 「訴訟期療養所」というフィールドで   
  1 ハンセン病訴訟原告勝訴   
  2 訴訟期ハンセン病療養所   
  3 あるフィールドワーク   
  4 フィールドワークを終えて   
  5 差別をめぐる位置取り
   ――告発、啓発、忌避、そして、向き合うこと

■むすびにかえて   
  1 語ることの困難さとその克服   
  2 誰がどのように語りを聞くか
     ――語りと社会的コンテクスト   
  3 今後の課題

■補遺  ハンセン病政策史の概要   
  1 戦前のハンセン病予防政策   
  2 戦後のハンセン病予防政策   
  3 「らい予防法」の内容   
  4 「らい予防法」廃止   
  5 「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟提訴と原告勝訴

■文献一覧
■資料
■あとがき

・関連リンク

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