2000.11.27 No10
■■■■■■■■■■■ 皓星社通信 ■■■■■■■■■■■■
◆◆◆
◆◆ 皓┃星┃社┃通┃信┃     ◇2000年11月27日号No10◇
◆  ━┛━┛━┛━┛━┛      
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
隔週刊行(頻繁に増刊の予定ですが……)
                                    発行所 株式会社 皓星社
                                        編集長 川尻絵馬
                  
                166-0004東京都杉並区阿佐谷南1-14-5
              TEL03-5306-2088   FAX03-5306-4125
                   info@libro-koseisha.co.jp
【等幅フォント推奨】     http://www.libro-koseisha.co.jp
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【目 次】
1.20年前の旧刊から
 『骨片文字』抄

2.皓星社から
 特集―伝記資料と雑誌記事の調べ方
  ●人物について調べる最強のツール
  ☆★☆ http://www.libro-koseisha.co.jp/top03/rbjin.html
  ●戦前の雑誌記事を調べる最強のツール
【編集後記】
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
1.20年前の旧刊から
 『骨片文字』抄

20年前の本社刊行図書『骨片文字』からコンスタンチン・トロチェ
フさんと谺雄二さんの詩を紹介します。

トロチェフさんは、帝政ロシアの貴族の出。トロチェフさんが生ま
れる前の話。お祖母さんとお母さんは、極東旅行で「京城」までき
た時ロシア革命が起こって祖国に帰れなくなってしまった。その時、
公演旅行中だった奇術師の松旭斎天勝の世話で日本に亡命。同じく
ウラジオストックで軍艦を乗っ取って日本に亡命してきた白軍の将
校と結婚。トロチェフが生まれた。日本で、お祖母さんは築地小劇
場の草創期に協力。お母さんは、外国人としてはじめて花柳の名取
になった女優。日本生まれのロシア貴族は病を得て、いまは草津の
尾根の療養所に住む。

谺さんは、本誌でおなじみのハンセン病国賠償訴訟東京原告団長。
左右両極の二人は親友です。

『骨片文字』は、療養所の詩人たちの合同詩集。それにしても、昔
はいい本を出していたなあ。
============================================================
--------------------
               ロジナはロシア語で「国」。この詩の書
 ロジナ        かれた時、誰もソ連の崩壊を予想してい
            なかった。
--------------------
                 コンスタンチン・トロチェフ
 北西に顔をむけて
 目をつぶって
 ロジナが見える

 森
 麦畑
 川
 ロジナの姿

 村も
 川も
 麦畑も
 森も
 深い雪にかぶさっている

 葬式の祈りをうたっている
 ふぶき
 墓場になってしまったロジナ
 お前のくるしみのこえ
 神までとどく
 そのとき! そのとき!
 ロジナの春が
 明るい青空からおりてきて
 野原の花が
 また
 さきだす

--------------------
 こうふく
--------------------
 その みち どこへ ゆく
 その はし どこへ わたる
 その さか どこへ くだる

 その みち あるくと
 その はし わたると
 その さか くだると
 むらに つくのだよ

 こうふくの すんでいる むら
 さがしても
 さがしても
 まだ
 さがせない
 あるく
 ぼく
 もみの木の下で という
 なつにも
 あきにも
 ふしぎにも
 いつも
 もみの木

 このもみの木 かわらず
 いつも あおいぼくのLOVEが
 きみを
 まつ……

--------------------
 夢の雪の中で
--------------------
                          谺 雄二

 また雪がふってきたのだろう
 頭のおくが鈍色にそまり
 きゅうに眠たくなった
 雪がふり出すといつもこうだ
 やがてどうにも重い眠りにおち入るのだが  
 雪はなお夢の中までふりこみ
 暗くてとおい沈黙(しじま)をものがたるかとみれば
 はげしくふぶいたりする

 こんなとき
 ボクはよく雪の墓になった
 らいのすべてを被うやさしさに埋れて
 ふたたび目覚めないだろうことを思いつつ
 無性に眠りこけたものだった
 しかしボクはいま
 夢の雪の中で起きている
 起きて夢の中の雪を踏みしめている

 所詮らいとは終生道づれ
 この雪にきっとおのれを眠らせてはならぬ
 それは明日への無為の祈り
 あるいは昨日に傾く怨みのかたち
 すでに半生とことんらいにまみれて
 何をいまさら葬るというのか
 ここまでくればらいもこれよし
 生きて自ららい最後の光芒を放つはまたよし

 ようやくにしてボクは
 折角らいに罹ったのだからという思いに今夜
  立っていたのだ
 なぜだかふいに涙があふれた
 涙は炬燵にもたれ寝の寝顔にも伝い流れた
 そして夢の雪の中でボクは
 この尾根にかすかに
 雪崩れの気配を感じとっていた            (1980年)

------------------------------------------------------------
(谺さんが「雪崩れの気配」を感じてから、もう20年もたつんだ!)
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
2.皓星社から
 特集―伝記資料と雑誌記事の調べ方
------------------------------------------------------------
今号は、いま皓星社が最も力を入れている、伝記資料を探すツール
と雑誌記事を調査するツールについて紹介し、出版物とインターネ
ットの補完的な利用環境について説明したいと思います。
============================================================
【進行中の企画】

●人物について調べる最強のツール

皓星社では、『明治・大正・昭和前期 雑誌記事索引集成』(後述)
に引き続き『日本人物情報大系』(全100巻)を刊行中です。

具体的には、伝記資料の宝庫である「叢伝」「列伝」の集大成と、
その被伝記者索引の作成です。

これは、多くの人物に関する目録・ツール類が最大でも5〜6万人程
度のカバーに対し、活字になった日本人の伝記資料100万人の集大成
を企図しています。

たとえば、女性編は、高群逸枝の『大日本女性人名辞書』が3500人、
最近でも日本図書センターの『日本女性人名事典』が7000人を収録
するのに対し、6万5000人の伝記資料を収録しています。

詳しいことは、下記URL(ホームページ)をご覧ください。

☆★☆ http://www.libro-koseisha.co.jp/top03/rbjin.html

また、皓星社では「雑誌記事索引集成」に続き、この企画でもホーム
ページ上で被伝記者を検索できるデータベース(被伝記者索引)を無
料公開しています。

☆被伝記者索引
http://www.libro-koseisha.co.jp/top01/main01.html#data_jin

たとえば、上記から「東海林太郎」を入力してみてください。
「満州編12-253、19-311」とヒットします。それぞれ満洲編の
12巻253頁と19巻311頁に資料が掲載されていることを示します。

ぜひ、図書館様には、この検索環境を含めて『日本人物情報大系』
のご採用をご検討くださいますようお願いいたします。また、読者
の皆様は、あらかじめこのデータベースで検索してから図書館にい
って目指すページを探せば、効果的な調査ができますので、有効に
ご活用ください。
============================================================
【完結した企画】

●戦前の雑誌記事を調べる最強のツール

雑誌の記事を探す主なツールは、
 
 国会図書館の「雑誌記事索引」http://www.ndl.go.jp/
 皓星社「雑誌記事索引集成」
         http://www.libro-koseisha.co.jp/top01/top01.html
 大宅文庫の「記事索引」http://www.people.or.jp/~oyabunko/

があります。大宅文庫の索引は、「大宅壮一的」収集と分類で知ら
れますが、一般的・総合的な索引としては、国会と皓星社の索引が
有効です。そしてその関係は、下記のとおりです。

明治期――{皓星社}――昭和23年――{国会図書館}――現在

つまり昭和23年を境に、それ以前を皓星社の「雑誌記事索引集成」
が、23年から現在を国会図書館の「雑誌記事索引」がカバーします。

皓星社の「雑誌記事索引集成」(フルネームは『明治・大正・昭和
前期 雑誌記事索引集成』社会科学編70巻 人文科学編50巻)は論
文数で100万件、執筆者35万人を数え、他のこの時期の索引・目録
類をすべて内包しているので、文字通りこれさえチェックしたら他
の目録類を調べることは必要ありません。

さらに使い勝手の向上をめざし、執筆者索引を作成。この内容はデ
ータベースとして、ホームページ上で誰でも検索できるよう、無料
公開しています。

【雑誌記事索引集成がなかったなら】
1)雑誌に掲載された論文を探すには、カンや経験を頼って古い雑
  誌にあたる。
2)先行研究から芋蔓式に探したり、学術雑誌の巻末の「参考文献」
  「重要文献」などのツールを頼りに探す。この場合、参考文献
  の載っている雑誌探しからはじめなければならない。

【雑誌記事索引集成ができたら】
1)雑誌記事索引として使えるほとんどの文献が全120冊に集成さ
  れているのであちこちあたらなくても、目指す文献を探すこと
  が可能となった。
2)しかし、それでも平均700頁、120冊をチェックするのは大変。

【執筆者索引の作成とWEB上での無料公開】
1)執筆者索引を新たに作成したので、一頁、一頁チェックしなく
  ても、目指す論文が「索引集成」120巻のどの頁に掲載されて
  いるか知ることができるようになった。
2)さらにWEB上の公開により、深夜でも自宅からでもいつでも、
  予備調査が可能になった。

☆執筆者索引
http://www.libro-koseisha.co.jp/top01/top01.html

たとえば、上記から戦前のエコノミストである「高橋亀吉」を入力
して検索してみてください。そのヒット数の多さにびっくりされる
と思います。さらに任意の誰かを入力し、確認してみてください。
「雑誌記事索引集成」の情報量の多さに必ず満足されると思います。

ただし、このデータベースは「雑誌記事索引」の<執筆者索引>な
ので、検索結果は「雑誌記事索引」の何頁に目指す結果があるとい
うことしか表示されません。したがって、その結果から、「雑誌記
事索引集成」の当該頁にあたって、目指す記事・論文名を確認して
いただかなければなりません。(一出版社の力では、ここまで作成
し公開するのがようやくです)

それでも、このささやかな試みは、ハーバード大学のライシュアワ
ー研究所やプリンストン大学はじめ、内外のたくさんの図書館から
リンクをはってご活用いただいています。

☆逆リンク集=リンクをはって下さっているサイトへのリンク集
http://www.libro-koseisha.co.jp/top15/top15.html

皓星社では、今後とも、さらに便利にご活用いただけるよう研究を
進めていくとともに、その他の出版物もインターネットを使っての
活用支援などの環境を整備していく所存です。

ご意見、ご要望をどしどしお寄せください。
------------------------------------------------------------
出版とインターネットに関する皓星社の取り組みについてメールマ
ガジン「ACADEMIC RESOURCE GUIDE」に寄稿いたしました。試行
錯誤の記録に過ぎませんが、ご高評賜れば幸いです。

☆掲載誌
http://www.ne.jp/asahi/coffee/house/ARG/079.html

============================================================
この話題についてのご意見ご感想、情報をぜひ掲示板に!
http://www.libro-koseisha.co.jp/top09/top09.html
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【編集後記】
この号も、皓星社の宣伝まみれになってしまいましたが、参考業務
でもっとも重要なものの一つが、論文等の所載の探索、人物の伝記
事項の調査だといわれています。
かつて、東北大学付属図書館の矢島玄亮先生は、「綜合伝記索引」
を作ることを企図され「司書が参考業務を行う際、最も利用価値の
高いものは伝記関係書である。……伝記の不明な程、司書を落胆さ
せるものはない」といいました。残念ながら、いくつかの部分的索
引を見たのみで、矢島先生の「綜合索引」の試みは未完に終わりま
した。
矢島先生の時代と大きく異なるのは、コンピュータの出現です。こ
の環境を得て、未完に終わった先人の志を受け継ぎたい、私たちは
そう思っています。

ハンセン病療養所に暮す二人の詩人の詩を紹介しました。これらの
詩が書かれてから、ソ連の崩壊、らい予防法の廃止がありました。
二人の詩作は中断していますが、ぜひ新しい詩を読みたいと思いま
す。皓星社のハンセン病関係書、リンク集は『骨片文字』
http://www.libro-koseisha.co.jp/top03/rb1001.htmlをご覧くだ
さい。
------------------------------------------------------------
『雑誌記事索引集成』『日本人物情報大系』の資料をお送りいたし
ます。下記を、カットアンドペーストしていただいてメールに貼り
付けて<info@libro-koseisha.co.jp>宛てお送りください。

-- >8 ------ >8 ------ >8 ------ >8 ------ >8 ------ >8 ----
□『雑誌記事索引集成』
□『日本人物情報大系』
  の資料を送れ。
------------------------------------------------------------
送付先ご住所  [       ]
御機関名    [       ]
ご担当部署   [       ]
ご担当者お名前 [       ]
URLアドレス [       ]
Eメールアドレス[       ]
FAX番号   [       ]
電話番号    [       ]
-- >8 ------ >8 ------ >8 ------ >8 ------ >8 ------ >8 ----
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
●皆様のご意見ご感想、情報をぜひ掲示板に!
http://www.libro-koseisha.co.jp/top09/top09.html
------------------------------------------------------------
●ご登録・解除は
 http://www.libro-koseisha.co.jp/mail/link01.htmlまで。
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
このメールマガジンは転送歓迎です。記事の引用・転載も自由です
が、社外の筆者の著作権は執筆者にあります。著作権者の権利を損
なわないようご配慮ください。
■■■■■■■■■■■■ 皓星社通信 ■■■■■■■■■■■
                      2000.11.27 No10