皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

歌誌月光82号

特集・窪田政男歌集『Sad Song』

死地へ行く少女もいたりこれからは命ののちを何と呼ぶべき
また会おう 見わたすかぎり向日葵は咲き蒼天に雲ひとつなく
ヒトラーと写真撮りたき紅顔の少年とぼく分かつものなく
あの人はぼくかもしれずぼくはまたガス室に立つ志願兵かも
梔子の自傷してゆく白を過ぐケルンコンサートを聴きながら

『Sad Song』自選三十首より

 

歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号の特集は、会員である窪田政男の第2歌集『Sad Song』。インタビュー「自分の外の世界と向き合うためにーー第二歌集『Sad Song』を刊行して」を収録。自身の音楽体験や生活の基調であったアルコール依存症からの回復、そしてコロナ禍、ウクライナ侵攻、再びの中東危機を目の当たりにしたことから転換していったという「表現の直接性」に迫る。また、重信房子による連載「自由への星」は「パレスチナに献花を」。

編者 福島泰樹(主宰)他
発売日 2023年12月25日
ページ数 122 ページ
定価 1,000円(+税)
判型 A5判並製
装幀・造本 藤巻亮一
カバー写真・
イラスト
佐中由紀枝
ISBN 978-4-7744-0815-6

目次

巻頭作品
大正十二年九月一日以後 赤いリンゴの歌 福島泰樹
夜のパサージュ 大和志保
家書家伝 竹下洋一

特集 窪田政男歌集『Sad Song』
月光インタビュー11  窪田政男
自分の外の世界と向き合うために 聞き手:大和志保
『Sad Song』自選三十首
われアルカディアにもあり (Et in Arcadia ego) 東郷雄二
出立せよ水無月の小舟 白島 真
歌は流れやわらかな光がともる 潮 なぎさ
『Sad Song』という数学的な問い 綿田友恵
何故『Sad Song』なのか──窪田政男歌集『Sad Song』を読む 岡部隆志
花と病と、そしてファド 窪田政男
一首鑑賞
五十嵐博信/岡本 康/小田那津子/尾松 亮/楠本夏菜/中田 實/高橋凜凜子/千田桃子/重信房子/夏野ひぐらし/晴山生菜/舛山誠一/ 宮野克行/武藤雅治/山本 茂/凛七星

短歌一
ACT 1 鳥から人へ 髙坂明良
虚仮の轍〈三〉 凛七星
羊雲 武藤雅治
卵を割れば 夏野ひぐらし
Kの肖像46 宮野克行
渇望と諦念 五十嵐博信
水つぽく歌へ 山本 茂
森羅万象 足立尚計
欠けた彫像 藤岡 巧
冬じたく 臼井敦子
舌の記憶 櫻井真理子
イサクの眼 髙嶋和惠

連載
短歌時評 触角と光、言葉の身振りについて(Ⅲ) 大和志保
連載 わが稗史抄 第五回 山本 茂
蚯蚓の戯言 6 思想詩としての短歌 大林明彥
テロルと虐殺と「私」 ―其の三―  武藤雅治
自由への星 パレスチナに献花を 重信房子

短歌二
灯火 高橋凜凜子
山脈の青 潮 なぎさ
虫の音 千田桃子
昭和から、今日 小田那津子
あの人がいた 鹿野 氷
本の象 晴山生菜
風花雪月 久慈博子
さびしさを蹴る 小河内仁美
杣口へ ─金子文子の歌碑まで 綿田友恵
たらちね 来栖微笑
予定調和 舛山誠一
再読「日本長寿食辞典」へ 鎌田圭一
母語の命日 尾松 亮
和光晴生、逝く パレスチナのため戦った 椎野礼仁 95
抒情なるを 中田 實
ノーベル賞へレッツGO! 大林明彥
映画評 あの日の「私」とあしたの「私」と  —映画「福田村事件」を読む 渡邊浩史

連載
天神亭日乗 18 来栖微笑
きょうの百葉箱 億の金の使い道 潮 なぎさ
神保町のんしゃら日記 16 晴山生菜
第十一回 黒田和美賞発表/月光通信/月光歌筵Ⅰ 前号作品評  窪田政男/ Ⅱ 綿田友恵
編集後記