皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

歌誌月光 79号

特集・福島泰樹歌集『百四十字、老いらくの歌』

見たかジョー! あの燃えさかる河岸かわぎしを、丹下段平「朝焼の歌」
時代に叛き生を貫き、思う存分夜空を眺め死んでゆきにき
敗戦の八月、無惨に殺された死者ら群がりうぬらを裁け
アラブに結んだ夢は砕けず暁の星を仰げば無数の顔よ
ライトバルーンに泛ぶ校舎よ 人々の記憶よ夢よ、さらばと言わず
第三十四歌集『百四十字、老いらくの歌』抄より

 

歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号の特集は、月光の会主宰・福島泰樹の第34歌集『百四十字、老いらくの歌』。2023年度日本歌人クラブ大賞は、本歌集を中心とする永年の功績に贈られました。

福島泰樹による歌集抄録のほか、インタビューでは、旧知であり歌集の装丁を担当した装丁家・間村俊一。福島との出会いから40年以上が経った今、これまでのエピソードや「文体そのものがノスタルジック」であるというその作品の魅力を、様々な角度から改めて探る。また、新連載として大和志保による短歌時評もスタート。

編者 福島泰樹(主宰)他
発売日 2023年7月3日
ページ数 124 ページ
定価 1,000円(+税)
判型 A5判並製
装幀・造本 藤巻亮一
カバー写真・
イラスト
佐中由紀枝
ISBN 978-4-7744-0794-4

目次

短歌一
ベルリンは雨 臼井敦子
吉さん命 山本 茂
象られるⅩⅩ 夜のものみの/感情教育 大和志保
家書家伝 竹下洋一

特集 福島泰樹歌集『百四十字、老いらくの歌』
第三十四歌集『百四十字、老いらくの歌』抄 福島泰樹
月光インタビュー10 山猫軒にて 間村俊一氏に聞く 聞き手:大和志保
俳句作品考 フクシマさん 夕星の差してお妾アパートに菊壽司やあり熱燗二本 閒村俊一
「忘れる」ことに抗する情 福島泰樹歌集『百四十字、老いらくの歌』を読む 岡部隆志
三途の川までおらびて行け 山本 茂
歌集『百四十字、老いらくの歌』ビハインドストーリー 綿田友恵
嘴から短歌~管理人の告白 来栖微笑

短歌二
月の森 髙嶋和惠
人を喰う 窪田政男
夏雨情歌 久慈博子
たれか呼ぶ声 夏野ひぐらし
あなたでしたの 潮 なぎさ
とくとわが 武藤雅治
あとの祭 小田那津子
本の象 晴山生菜
そのときのすべて 鹿野 氷
水めぐる 五十嵐博信
戦と白鳥 足立尚計
『ピンチランナー調書』のピンチランナー 中田 實

書評 武藤雅治著『異形の良寛 渇きと訪れ』
非日常性への出奔 山本 茂
『異形の良寛 渇きと訪れ』を読む 竹下洋一
異形ということ 渡邊浩史

短歌三
五月物語 綿田友恵
幻視の母堂 来栖微笑
Kの肖像43 宮野克行
羊の瞳 千田桃子
卒アメリカ 舛山誠一
森が夢見る 川崎秀三
旅のつれづれ 櫻井真理子
夏服 小河内仁美
White Christmas in 2022.12.23 菅原あこ
地球的中華 福間三九郎
アンドロゲンシャワーへ 鎌田圭一
人の様 永田 修
夕焼のファンタジー 高橋凜凜子
紫陽花忌 大林明彥

連載
延子絶叫 第6回 「ピエロ」デカダンスへの韜晦 福島泰樹
わが稗史抄 第二回 山本 茂
蚯蚓の戯言 3 大林明彥
ヒロシマ 自由への星 Ⅴ 重信房子
月光シネマテーク49 あした花咲く庭で (14) 渡邊浩史
天神亭日乗 15 来栖微笑
きょうの百葉箱 人は考える葦でなかったか 潮 なぎさ
神保町のんしゃら日記 13 晴山生菜
コトバ数だけ数えうたの十八 山崎春美

新連載
時評(二〇二三年二-三月) 触角と光、言葉の身振りについて(1) 大和志保

月光歌筵Ⅰ 前号作品評 窪田政男/ Ⅱ 綿田友恵/Ⅲ 千田桃子