皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

歌誌月光 78号

特集・下村光男遺歌集『海山』

かれらさえはや権力におもねりて傷むなし我らの世代さびしえ
おおかたのものは手放し定住の家を持つこといよいよさびし
銀河鉄道の夢より醒めて 四街道 星降る寒の駅におりたつ
歌のこと飲食おんじきのこと子らのこと清貧も寂しきものとおもうぞ
生活をかくしてうたう 生活をみせて詠ずる 歌とはせつ

 

歌人・福島泰樹主宰の「月光の会」が発行する短歌雑誌。今号の特集は、第二歌集『歌峠』より35年、戦後日本を誠実に生き抜き、2021年11月に逝去した歌人・下村光男とその遺歌集『海山』。福島泰樹による秀歌選のほか、インタビューでは、角川書店「新鋭歌人叢書」として刊行された下村の初歌集『少年伝』に至る1960〜70年代当時の思いや、「時代風俗を明敏に捉える目の良さや通俗に流れない声調、歌人としての美質」を備えていたという下村作品を読む。

編者 福島泰樹(主宰)他
発売日 2023年5月11日
ページ数 116 ページ
定価 1,000円(+税)
判型 A5判並製
装幀・造本 藤巻亮一
カバー写真・
イラスト
佐中由紀枝
ISBN 978-4-7744-0789-0

目次

短歌一
記憶の骸/かわたれの 凛七星
愛せるならば/冬からの旅 鹿野 氷
家書家伝 竹下洋一
特集 下村光男遺歌集『海山』
少年伝 福島泰樹選
哀別、抒情、愁烟の人 福島泰樹
「生きて在る」ことへの旅─下村光男歌集『海山』を読む─ 岡部隆志
福島泰樹インタビュー
遙かなる涯への渇仰 聞き手:大和志保
短歌二
月蝕夜 佐々木 譲
北の詩人 山本 茂
手はどこで拭く 窪田政男
Saudade Side A 渡邊浩史
右手 武藤雅治
備忘録 2023.3.10(金)晴 関根正二2 矢澤重徳
旅立ちは…… 川崎秀三
Kの肖像42 宮野克行
もやいの海 夏野ひぐらし
戦禍の子ども 高橋凜凜子
バタフライ・エフェクト 綿田友恵
遠景 楠本夏菜
春の蝙蝠 潮 なぎさ
紅椿に祈る 吉田和子
春の手ごたへ ~題詠百首より~ 櫻井真理子
雪とけて 髙嶋和惠
連載
わが稗史抄 第一回 山本 茂
蚯蚓の戯言 2 ─塚本邦雄の革命─ 大林明彥
なゐふる 自由への星 Ⅳ 重信房子
短歌三
ロッテンマイヤーズ 小田那津子
レモンの色 千田桃子
ひとひとり 五十嵐博信
あれは春星? 有泉
瞼の馬場  来栖微笑
新緑のざわめき 久慈博子
ドキュメンタリー短歌 鉄道兵だった父 椎野礼仁
母と花と 竹村京子
人の 永田 修
老いる者の歌 舛山誠一
七十三歳癌患者 終活するか チャウデ就活 福間三九郎
「ケイイチさんのお願いだったら」へ 鎌田圭一
鬼 黒羽 濫
Great God my mother Kazuko 菅原あこ
語り部の歌 三 小河内仁美
積もる三月 臼井敦子
夢を見し 中田 實
馬鹿野郎 大林明彥
連載
月光シネマテーク48 あした花咲く庭で (13) 渡邊浩史
天神亭日乗 14 来栖微笑
きょうの百葉箱 変わっていく社会での「個人の尊重」 潮 なぎさ
神保町のんしゃら日記 12 晴山生菜
月光歌筵Ⅰ 前号作品評 窪田政男
Ⅱ 前号作品評 綿田友恵
Ⅲ 前号作品評 近藤恭子
月光通信
編集後記