皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

歌集 暁の星

連帯の火矢! 重信房子第二歌集

試し読み

《この本が紹介されました》

・2022年5月8日 共同通信

産経新聞 2022年5月28・29日

週刊読書人 2022年7月15日

北海道新聞 2022年7月10日

テロリストと呼ばれしわれは秋ならば桔梗コスモス吾亦紅が好き

 

元日本赤軍リーダー・重信房子が21年に及ぶ刑期を終え、この5月に出獄する。本書は獄中で書き溜めてきた短歌をまとめた第二歌集。著者は革命の日々を、連合赤軍事件で粛清された友・遠山美枝子を、現在の世界の悲惨を、二十数年にわたり詠み続けて来た。本書の歌は、著者の踠きと葛藤の発露であると同時に、歴史の証言でもある。

海外で暗躍すること四半世紀を超え、国内での潜伏と獄中の日々、重信は一体、この斬新で清潔な文体をどこで獲得してきたのだ。……戦い死んでいった同志への哀悼に、柔らかな心の襞を涙で濡らし続けてきたのだろう。(福島泰樹「跋」より)

アネモネの真紅に染まる草原に笑い声高く五月の戦士ら
空港を降り立ち夜空見上げればオリオン星座激しく瞬く
雪中に倒れし友の命日に静かに小さな白き鶴折る
津波燃え人家逆巻き雪しきり煉獄の闇 生き延びし朝
パレスチナの民と重なるウクライナの母と子供の哀しい眼に遭う

著者 重信房子
発売日 2022年5月27日
ページ数 192 ページ
定価 2,000円(+税)
判型 A5判並製
装幀・造本 栗原奈穂
カバー写真・
イラスト
佐中由紀枝
ISBN 978-4-7744-0765-4

目次

序章  2019.5,2022.5
五月の戦士たち-リッダ闘争五十年
ナクバの日-ナクバとは「大惨事の日」

 

Ⅰ 2022.1~2022.2
暁の星
ウクライナ

 

Ⅱ 2021.1~2021.12
一月尽
早春賦
老囚
星一つ
ガザ
砂漠
空襲
百日紅


胸底
喉仏

 

Ⅲ  2020.1~2020.12
逆夢
雪山

鉄格子

黄昏
行進
蟬時雨
一炊の夢
星座
獄二十年
コロナ

 

Ⅳ  2019.7~2019.12
反逆の子
埋め火
彼岸花
逆光
或る秋
黒い字
オリオン

 

終章 2019.3,2022.3
三月哀歌

 

跋 戦士たちはわが胸に棲み 福島泰樹
あとがき 重信房子

栞(別刷)
足立正生 革命の歌を詠む!
田中綾 愛のゆくたて
四方田犬彦 死と再生の歌

重信房子(しげのぶ・ふさこ)

1945年9月28日東京都世田谷区生れ。65年明治大学2部文学部史学科に入学、69年卒業、同年政治経済学部政治学科に学士入学。67年社会主義学生同盟(ブント)に加入。71年2月、奥平剛士と結婚し日本を出国。73年3月、娘メイを出産。2000年11月、大阪で逮捕された。10年8月、懲役20年(未決勾留日数2991日を含む)の刑が確定。服役中に短歌を始め、2019年より福島泰樹主宰「月光の会」に参加する。2022年5月に出獄。
著書に、『わが愛、わが革命』(講談社、1974)、『ベイルート 1982年 夏』(話の特集、1984)、『りんごの木の下であなたを産もうと決めた』(幻冬舎、2001)、歌集『ジャスミンを銃口に 重信房子歌集』(幻冬舎、2005)、『日本赤軍私史-パレスチナと共に』(河出書房新社、2009)、『革命の季節 パレスチナの戦場から』(幻冬舎、2012)などがある。