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ハンセン病文学全集 3 小説三

ハンセン病患者・元患者による作品の集大成。小説篇その3

ハンセン病文学全集3 小説三 皓星社

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閉ざされた園で書き継がれた作品群。質量ともに世界文学史上例を見ないハンセン病文学の集大成。

この百年の文学史に対して、もう一つの流れをつくる。(鶴見俊輔)

ハンセン病文学は、戦後の建前である人権とか言論の自由の陰の部分を明らかにするとともに、日本の現代文学の欠落を補い、それに大きな衝撃を与えるだろう。(加賀乙彦)

編者 大岡信、大谷藤郎、加賀乙彦、鶴見俊介
発売日 2002年11月
ページ数 446 ページ
定価 4,800円(+税)
判型 A5版上製
装幀・造本 安野光雅
ISBN 9784774403922

目次

冬敏之
「たね」
「渦」
「高原の療養所にて」
「埋もれる日々」
「その年の夏」
「長靴の泥」
「街の中で」
「ハンセン病療養所」

島比呂志
「林檎」
「奇妙な国」
「永田俊作」
「カロの位置」
「豊満中尉」
「生存宣言」
「海の沙」

解説

冬 敏行  (フユ トシユキ)  (

本名・深津俊博。1935年2月10日、現在の愛知県豊田市に生まれる。父親がハンセン病を病んでいて、名古屋帝大医学部分院で、家族全員が検診を受け、長兄、次兄とともに三男の冬もハンセン病と診断され、1942年9月多摩全生園に入所。2002年2月26日死去。『埋もれる日々』(1970年 東邦出版社)、『風花』(1977年 東邦出版社)、『ハンセン病療養所』(2001年 壺中庵書房)のほか、長編小説「藤本事件」(「民主文学」1974年1月号~1975年8月号)、全国老人福祉問題研究会「ゆたかなくらし」に創作民話を掲載(1986年4月~1996年5月、1997年5月~1998年5月)、「『らい予防法』廃止への道」(「ゆたかなくらし」1996年6月より10回連載)、遺作「柊の花」(「民主文学」2002年9月号)。

島 比呂志  (シマ ヒロシ)  (

本名・岸上薫。1918年7月23日、香川県観音寺市に生まれる。生物化学を専攻。1940年大陸科学院勤務。1944年東京農林専門学校(現・東京農工大学)助教授。1947年大島青松園入園、翌年星塚敬愛園へ転園。1958年より同人雑誌「火山地帯」を主宰。1999年、社会復帰。童話集『銀の鈴』(1949年 四国出版社)、作品集『生きてあれば』(1957年 講談社)、『奇妙な国』(1980年 新教出版社)、『生存宣言』(1996年 社会評論社)。評論の仕事に『来者のこえ』(1988年 社会評論社)、『らい予防法の改正を』(1991年 岩波ブックレット)、『「らい予防法」と患者の人権』(1993年 社会評論社)、『片居からの解放』(増補改訂版、1996年 社会評論社)などがある。