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告発 ハンセン病医療 多磨全生園医療過誤訴訟の記録

らい予防法違憲国家賠償請求訴訟の勝訴から22年

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週刊新社会 2023年6月28日

ハンセン病隔離の弊害は、入所者の人権を侵害したばかりでなく医療の場においても顕著だった。医療現場もまた世間から隔絶されガラパゴス化し、療養所の一部の医師はアップデートを怠り、療養所の閉鎖社会の中で多発した医療過誤は封印されてきた。本書は、ただ一人声を上げた勇気ある記録であるとともに、ハンセン病療養所医療の実態を明らかにし後世に警鐘を鳴らす唯一の書である。
訴状、判決全文、原告・被告の陳述書、尋問調書、それぞれの側の意見書など主要な資料をすべて収録。裁判記録が裁判所において廃棄されているため、本訴訟を記録するのは本書のみとなった。

編者 村上絢子(編著)/内藤雅義(編著)/並里まさ子(編著)/和泉眞藏(編著)
発売日 2023年5月25日
ページ数 432 ページ
定価 2700円(+税)

目次

序章 多磨全生園医療過誤訴訟の記録を書き残す 村上絢子 フリーライター 6
第Ⅰ部 提訴から出版までの経緯
発刊にあたって  鈴木利廣 原告代理人・弁護士 14
支援者(匿名)から裁判に関わった経緯を聞く 村上絢子 16
相談から提訴まで  内藤雅義 原告代理人・弁護士 21
訴訟当時の主治医からのメッセージ  並里まさ子 医師 26
本書を出版する理由  編著者一同 28
第Ⅱ部 被告国と闘う [訴訟編]
第1章 提訴から尋問まで
1 全生園医療過誤訴訟の概略  内藤雅義 30
2 原告の訴え
(1)訴状 2003年4月23日提出  33
(2)第1回口頭弁論 期日 2003年6月19日
陳述書  山下ミサ子 原告 41
3 双方の主張と争点   解説 内藤雅義 44
4 証拠
ア 原告側の主張
(1)原告本人の陳述書(2004年5月6日)  45
(2)並里まさ子・原告側証人の陳述書 54
(3)和泉眞藏・原告側証人の意見書 60
イ 被告国側の主張
反論の要点 解説 村上絢子 80
小関正倫・被告国側証人の陳述書(資料編p394参照)
石井則久・被告国側証人の意見書(資料編p378 参照)
第2章 1審 〈尋問〉
1 尋問を理解するために
(1)尋問の進み方  解説 内藤雅義 84
(2)臨床経過とハンセン病  解説 並里まさ子 85
① 山下ミサ子さんの臨床経過 85
② ハンセン病とらい反応を理解するために 88
2 証人・原告本人尋問 期日 2004年7月12日(尋問調書は抄録)
*傍聴メモ  村上絢子  94
(1)小関正倫・被告国側証人の尋問 97
ア:主尋問(p97)、イ:反対尋問(p101)
(2)並里まさ子・原告側証人の尋問
ア:主尋問(p113)、イ:反対尋問(p124)
(3)対質 小関正倫証人と並里まさ子証人 131
(4)山下ミサ子・原告本人尋問
*傍聴メモ 村上絢子 139
ア:主尋問(p141)、イ:反対尋問(p152)
裁判長の補充尋問 159
3 証人尋問 期日 2004年7月26日(尋問調書は抄録)
*傍聴メモ  村上絢子 163
(1)和泉眞藏 原告側証人の尋問
ア:主尋問(p167)、イ:反対尋問(p178)
(2)石井則久 被告国側証人の尋問
ア:主尋問(p180)、イ:反対尋問(p184)
(3)対質 和泉眞藏証人と石井則久証人  188
第3章 結審と判決
1 結審
最終口頭弁論 期日 2004年10月4日
(1) 内藤雅義 原告代理人・弁護士の意見陳述(要旨) 200
(2) 原告の意見陳述  200
*傍聴メモ・報告集会での意見交換  村上絢子 203
2 判決 2005年1月31日
(1)判決言い渡し
*傍聴メモ・勝訴判決後の集会での報告 村上絢子 205
(2)判決要旨(判決全文は資料編p291)   207
(3)判決を読み解く  解説 村上絢子 215
第4章 控訴から和解まで
(1) 国の控訴と控訴に対する運動  解説 村上絢子 219
(2) 控訴理由と被控訴人(山下ミサ子側)のコメント 内藤雅義 220
(3) 控訴審における書証
①控訴人(国側)が提出した書証
意見書 国立療養所長島愛生園皮膚科医長 尾崎元昭 226
②被控訴人(山下ミサ子側)が提出した書証
尾崎意見書に対する反論書  被控訴人証人・医師 和泉眞藏 231
(4)控訴審 における口頭弁論
⑴ 第1回口頭弁論 期日 2005年4月27日
ア:被控訴人(山下ミサ子)の意見陳述  241
イ:内藤雅義 被控訴人代理人・弁護士の意見陳述 243
*傍聴メモ  村上絢子 245
⑵ 第2回口頭弁論 期日 2005年6月22日
*傍聴メモ  旦保立子 真宗大谷派僧侶 246
⑶ 結審 期日 2005年8月24日
*傍聴メモ 村上絢子 248
第5章 和解 2006年1月31日
*傍聴メモ  村上絢子 250
和解条項  252
多磨全生園園長所感  253
第Ⅲ部 勝訴判決を将来に生かすために
第1章 訴訟を振り返って
おかしいことは、おかしいと言いたかった 山下ミサ子 原告 255
揺るぎない信念と決意 匿名 退所者 259
人間を踏みにじってはならない  酒井義一 真宗大谷派僧侶 261
山下ミサ子さんを支える会代表 000
私も原告として闘いたかった  森元美代治 退所者 262
勝訴・和解 本当に良かった!  松下徳二 263
ハンセン病問題の全面解決を目指して共に歩む会 鹿屋 000
感謝の言葉   金城幸子 退所者 263
第2章 今後の課題
医療過誤を全療協運動の転換点に  神美知宏 265
全国ハンセン病療養所入所者協議会事務局長
提言  ハンセン病市民学会 268
全生園医療過誤事件とその後の取り組み 内藤雅義 弁護士 271
いまコロナ禍の中でハンセン病問題を考える 和泉眞藏 医師 278
終章 村上絢子 286
[資料編]
(1) 判決全文  291
(2)1審書証
1 証拠説明書 解説 内藤雅義 358
(1) 原告が提出した書証の証拠説明書  359
(2)被告が提出した書証の証拠説明書  361
2 書証の具体的内容(抄録)
(1) 原告側が提出した書証
並里まさ子論文(甲B第1号証)  366
「長期寛解後に高度の障害を併発して再発したらい腫らいの1例」
(2) 被告側が提出した書証
ア 石井則久意見書(乙B第42号証)  378
イ 小関正倫陳述書(乙B第43号証)  394
ウ 後藤論文(乙B第24号証)  406
エ 「1987年 今日の治療指針」(乙B第22号証)  415
(3) 療養所に潜在化している光田イズムとは 村上絢子 416
跋文 村上絢子 426