2001.4.9 No19 ■■■■■■■■■■■ 皓星社通信 ■■■■■■■■■■■■ ◆◆◆ ◆◆ 皓┃星┃社┃通┃信┃ ◇2001年4月9日号 No19◇ ◆ ━┛━┛━┛━┛━┛ ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 隔週刊行(の予定は未定ですが……) 発行所 株式会社 皓星社 編集長 川尻 絵馬 166-0004東京都杉並区阿佐谷南1-14-5 TEL03-5306-2088 FAX03-5306-4125 info@libro-koseisha.co.jp 【等幅フォント推奨】 http://www.libro-koseisha.co.jp ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【目 次】 1.ハンセン病とともに(5) 谺 雄二 2.皓星社から ◎編集後記 ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ☆ たびたびお伝えしているハンセン病国賠訴訟ですが、5月 11日、 ついに熊本地裁の判決が出ます。皓星社では裁判の証言をブックレ ットにまとめて刊行していますが、近ごろ報道機関の方からのお問 い合わせが増えてきました。聞いてみると、やはり判決に合わせて 取材中とのこと。テレビや新聞で目にすることも多くなりそうです。 薬害HIV訴訟はまさかの無罪判決でした。 みなさん、裁判のゆく えを見守ってまいりましょう。 ☆ お待たせしました、皓星社ブックレット新刊のお知らせです。 おまけにこのたびは、幻の詩と写真集『ライは長い旅だから』の縮 刷版をブックレットとして緊急出版。皓星社通信ではおなじみの谺 さんが詩を担当されたました。詳細は後ほど。まずは「ハンセン病 とともに」をどうぞ。 ============================================================ ハンセン病とともに(5) 谺 雄二 さて、国を訴えるこの裁判に私がどんな気持ちで臨んだかについ ては、たいへん不十分ながら、これまでで何とか書きとめてきたつ もりである。そしてこの間、裁判情勢はさらに一定の変化をもたら しつつ進行しており、ここではその辺のことを記したいと思う。 熊本地裁での大谷・和泉・犀川証言と東京地裁での成田証言によ って、国のハンセン病政策の過ちはまさに歴史的に明らかにされ、 その責任が真正面から問われるかたちになった。これをもってこの 裁判の大きな“山”は確かに越えたと思われたのである。しかし被 告国はまるで“窮鼠猫を噛む”の態で、また裁判の引き延ばし目的 から、本年9月熊本と東京の両地裁に国側証人各三名を申請してき たのだ。それは、まず熊本に岩尾聡一郎厚生省大臣官房厚生科学課 長、長尾栄治大島青松園副園長、今泉正臣星塚敬愛園園長、一方東 京には熊本にダブっての岩尾聡一郎、そして後藤正道元星塚敬愛園 副園長と瀧澤英夫元奄美和光園園長の面々である。 彼らにたいする国側の主尋問は熊本地裁で10月20日、東京地裁で は 10月 31日にそれぞれ行われたが、その証言内容は不当にも民法 724条による「除斥期間の適用」を前提とし、したがっていずれ も提訴より20年を遡るそれ以前は時効として全く触れず、逆に20年 以降は法の運用を図って「一切人権侵害なし」という傍若無人のも のだった。 こうした国側証人のうち、私が比較的に知っているのは、1977年 から1987年までの10年間栗生楽泉園の副園長を務めたことのある瀧 澤証人だけだが、その彼も主人に尾を振る牧犬よろしく、「国は人 権侵害をしていない」の証言を繰り返した。彼は楽泉園に在職中、 入所者間を「副園長」を嵩に酒をたかり歩いた男で、しかもいまに なって思えば、彼は自分をもてなしてくれた入所者のハンセン病ゆ えの苦しみや悲しみ、国の政策に対する怒りさえをも、なんと酒の “肴”にしていたことになる。 私は法廷内で彼が証言台に立つ寸前、せめても人間らしい証言を 求める気持ちから彼に歩み寄ったりしたのだが、そのあまりの人非 人証言についに感情を抑えきれず、退廷する彼に向かって思わず叫 んでいた。「人権侵害に時効は無いぞ、なんだあの証言は!」 【関連リンク集】 おなじみハンセン病リンクを再度おさらい。 ●ハンセン病国賠訴訟を知るリンク 古賀克重弁護士のホームページ……ハンセン病国賠訴訟の最新情報 データベースがあります! http://homepage1.nifty.com/lawyer-k-koga/niftypage3.htm 「らい予防法」違憲国家賠償請求訴訟を支援する市民の会 http://member.nifty.ne.jp/shiensurukai-tk/ 熊本中央法律事務所 国宗直子弁護士のホームページ http://www5b.biglobe.ne.jp/~naoko-k/index.html ●『皓星社通信』第2号のリンクも再々録。 高松宮記念ハンセン病資料館(藤楓協会) http://www.health-net.or.jp/kenkonet/html/dantai/hansen/hansenm.html ハンセン病と患者を取り囲む社会 http://homepage2.nifty.com/etoile/hansen/nonframe.html ハンセン病問題学習 (全校生徒15人! 庵治町立庵治第二小学校の取組) http://www.kagawa-edu.takamatsu.kagawa.jp/azinie01/ seisyouensyoukai.htm ハンセン病国賠訴訟を支援する会 http://www03.u-page.so-net.ne.jp/ca2/nanya50/ 知って!ハンセン病国賠訴訟 http://www.hansenkokubai.com/ ハンセン病関連資料 http://www.try-net.or.jp/~k-ohta/hansen ハンセン病のない世界 http://www02.so-net.ne.jp/~yae ============================================================ ☆ この話題についてのご意見ご感想、情報をぜひ掲示板に! http://www.libro-koseisha.co.jp/top09/top09.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 皓星社から ● 皓星社ブックレット刊行! お待たせしました。 皓星社ブックレット10、11、 いよいよ刊行です。 ブックレット10は、4月13日刊行。 『証人調書(2)・「らい予防法国賠訴訟」和泉眞藏証言』 ハンセン病国家賠償請求訴訟弁護団 編 1999年6月17日・12月17日に熊本地裁で行われた裁判記録より、和 泉眞藏氏の証言全文と意見書を収録したものです。和泉氏はハンセ ン病療養所大島青松園の現役の医師であり、厚生省の医官も務めて いる方。裁判では、医師の立場、研究者の立場から厳しく国の責任 を問われました。「らい予防法」の違法性について医学的根拠を証 言した重要な記録です。 「ハンセン病とともに」の文中の園当局者とは、まったく逆の立 場からの証言。和泉さんは証言の後、さばさばした表情で「これで 僕も国立療養所の平医師どまりだな」と周囲に語ったそうです。 A5判 約180頁 並製 定価800円+税 当初の予定を変更して、ブックレット11は『ライは長い旅だから』 の縮刷版。20年前に弊社から刊行された幻の名作(前号に引き続き、 手前味噌ですみません)、このたび緊急出版です! 谺さんの詩に、趙根在さんが写真を添えたこの詩集、谺さんの人間 として生きる勁い姿勢、闘う強い意志。また患者さんの顔写真の掲載 は当時画期的なことでした。趙さんと入園者の絶対の信頼関係がなけ れば撮影は許されなかったでしょう。 患者さんの強いまなざし、モノクロの風景写真は、今なお私たちに 語りかけます。私、川尻も圧倒されたひとり。ぜひ一度ご覧になって ください。 A5判 約180頁 並製カバー装 定価1,600円+税 ============================================================== ☆ お申し込み、ご予約はこちら。 「ご意見欄」に書名、部数を入力してください。 http://www.libro-koseisha.co.jp/link01.html ============================================================== ● 明石海人顕彰委員会 皓星社で全集を刊行した、明石海人の歌碑建設が海人の母校、沼津 商業同窓会の手で進められています。 事業の概要は以下のとおり。 ◇歌碑建立場所 沼津千本浜公園と沼津商業高等学校校庭の2箇所の予定 ◇碑に刻む短歌 現在選歌中(みめぐみは いわまくかしこ…なんてのじゃあない でしょうね) ◇歌碑石材 海人終焉の地、岡山県「長島愛生園」より ◇募金目標 1.000万円 ◇募金方法 一口3000円以上。 ◇振込先 〒口座 00870-2-34570 沼商同窓会明石海人顕彰委員会 ◇歌碑完成予定日 2001年7月5日(木) 詳細は同窓会事務局0559-32-5565にお問い合わせください。 明石海人についてはこちら http://www.health-net.or.jp/kenkonet/html/dantai/hansen/hs52.html 『海人全集』全3巻 http://www.libro-koseisha.co.jp/top03/rb1009.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ 【編集後記】 ● 4月、街を歩けばおニューのスーツに身を包んだ新社会人たち が目に入ります。もしかしたら、ひとりくらいはスーツを新調した だけという人も混ざっているのかも……でも、やっぱりどう見ても 彼らはフレッシュマン。一年前に社会人デビューした先輩たちとは 明らかに違います。人間って、たった1年でずいぶんスレてしまう ものだなあ。ちなみに、私は就職浪人組だったので、ピカピカスー ツで街を闊歩する気分はついに味わえずじまいでした。 ☆ 皆様のご意見ご感想、情報をぜひ掲示板に! http://www.libro-koseisha.co.jp/top09/top09.html ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ ●ご登録・解除はこちらから↓ http://www.libro-koseisha.co.jp/mail/link01.html(ご登録) http://www.libro-koseisha.co.jp/mail/link02.html(解除) ━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━ このメールマガジンは転送歓迎です。記事の引用・転載も自由です が、社外の筆者の著作権は執筆者にあります。著作権者の権利を損 なわないようご配慮ください。 ■■■■■■■■■■■■ 皓星社通信 ■■■■■■■■■■■ 2001.4.9 No19 |