皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

世界ハンセン病疫病史 ―ヨーロッパを中心として―

「ハンセン病医療ひとすじ」に歩んだ著者の遺作

疾病は古くから戦争や民族の移動、移住、交易、文化の流行を通じて拡散した。
特に戦争は貧困と疾病の蔓延をもたらしてきた。この歴史は今に続く。
宗教と科学のハンセン病対策への試行錯誤のすえ、数千年に及ぶ悲劇の歴史は終わろうとしているが、未だハンセン病問題は存在し、多くの人が苦しみ続けている。
本書は、ハンセン病医療専門医・犀川一夫の遺作を二人の後進が書き継いだものである。犀川が、ヨーロッパのハンセン病の疫病史について主として古代・中世の疫学状況や政策などを述べ、森、石井が、近現代を中心に、宗教と科学がハンセン病を克服してゆく過程を検証する。世界規模での通史が、ここに完結した。

著者・編者 犀川一夫/森修一/石井則久
発売日 2012年10月1日
ページ数 360 ページ
価格 5,800円(+税)
版型 A5版上製

犀川一夫(さいかわ・かずお)

ハンセン病医療専門医。日本で最初にハンセン病特効薬「プロミン」を使った医師の一人である。
1918年東京代々木に生まれ、44年東京慈恵会医科大学を卒業。その後国立療養所長島愛生園に勤務。53年、ラクノー会議に出席し、当時まだ日本で一般 化していなかった在宅医療制度に衝撃を受ける。WHO西太平洋地区らい専門官、琉球政府らい専門官及沖縄愛楽園長。国立療養所沖縄愛楽園長、沖縄県ハンセ ン病予防協会理事長など歴任するかたわら、在宅医療制度の普及、療養所の環境改善、回復患者の更正事業、人権回復運動に尽力した。

 

森修一(もり・しゅういち)

東京大学大学院総合文化研究科相関基礎科学系博士課程学術博士、医学博士。
国立感染症研究所ハンセン病研究センター・感染制御部第7室室長。

 

石井則久(いしい・のりひさ)

横浜市立大学医学部医学博士。
国立感染症研究所ハンセン病研究センター・センター長。

目次

はじめに

Ⅰ.古代、中世を中心に
緒言

第1章――疫病的状況
1・ヨーロッパへの侵襲
2・ハンセン病侵襲の機会
3・ギリシアのハンセン病
4・ローマのハンセン病
5・ヨーロッパ内陸部のハンセン病
6・ハンセン病患者の数
7・患者の減少
8・ハンセン病消滅の原因

第2章――政策的状況
1・政策の歴史
2・政策の内容
3・各国の立法措置状況
4・法の内容

第3章――医学的状況
1・ハンセン病の医学的概念の変遷
2・ハンセン病の伝染説
3・ハンセン病の遺伝説
4・疫学調査
5・ハンセン病専門医の業務
6・検査診断
7・病型分類

第4章――社会の状況
1・偏見と差別
2・社会不安
3・病者への労り
4・キリスト教徒とハンセン病

稿を終えて
註/附記/あとがき
参考文献

 

Ⅱ.近代、現代を中心に
緒言

第1章――公衆衛生政策としての隔離の始まり―1815年‐1910年頃―
1・遺伝説から感染説へ
2・世界における隔離の提唱
3・アメリカ合衆国の隔離政策
4・イギリスによる隔離政策

第2章――隔離政策の近代化とその変遷―1910年頃‐1925年頃まで―
1・公衆衛生策としての隔離の進展
2・近代の隔離政策の概念
3・アメリカ合衆国による隔離政策の進展
4・イギリスによるハンセン病政策の進展
5・宗教から医学へ

第3章――絶対隔離政策確立とその要因―1926年‐1945年―
1・ハンセン病研究の国際的統合
2・アメリカ合衆国における隔離の近代化
3・イギリスの隔離政策の転換

第4章――ハンセン病からの解放
1・プロミン以降の世界のハンセン病政策の変遷
2・ミッションの活動の変革
3・国際救らい団体連合によるハンセン病制圧活動の進展
4・笹川記念保健協力財団(SMFH)とハンセン病制圧活動
5・国際らい学会の活動とその変遷

第5章――プロミン以降のハンセン病政策
1・新しい時代のハンセン病対策
2・東南アジアおよび西太平洋地域のハンセン病政策 1960年代
3・韓国のハンセン病対策1945‐
4・米国のハンセン病政策の終焉
5・イギリスのハンセン病政策の終焉
6・ハンセン病の現状と未来

ハンセン病の夜明け

参考文献