皓星社(こうせいしゃ)図書出版とデータベース

ハンセン病と民俗学 内在する差別論理を読み解くために

ハンセン病差別問題について、民俗学的視座から分析! 従来とは異なるアプローチを試みた意欲的な研究成果!

著者「まえがき」より
本書は日本社会において、長きにわたって社会から包摂されずにいたハンセン病患者がこうむってきた、強制隔離やそれに伴う人生被害、また患者やその家族・親族に対する忌避などの差別と偏見について、政策、医師の言説、民間伝承という三柱からハンセン病差別の問題構成を読み解くことにより、差別問題解消へのひとつの可能性を提示しようとするものである。

著者・編者 今野大輔
発売日 2014年10月30日
ページ数 480 ページ
価格 6,500円(+税)
版型 A5版上製
装幀・造本 藤巻亮一
ISBN 9784774404936

今野大輔(こんの・だいすけ)

1982年 東京都新宿区生まれ。
2005年 成城大学文芸学部文化史学科卒業。
2010年 成城大学大学院文学研究科日本常民文化専攻博士課程後期修了。博士( 文学)。
現在、成城大学民俗学研究所研究員、淑徳大学兼任講師。
・主な研究業績
2008 年「ハンセン病差別の民俗学的研究に向けて」『日本民俗学』第256号(第29回日本民俗学会研究奨励賞受賞論文)
2009 年「風水害からみた半島の変化」小島孝夫・田中宣一編『半島のくらし―広域民俗誌の試み―』慶友社
2010 年「民俗学が差別の問題に取り組むために」田中宣一先生古稀記念論集編纂委員会編『田中宣一先生古稀記念論集 神・人・自然―民俗的世界の相貌―』慶友社

目次

まえがき

序章――研究の目的と手法・方向性

〈第一節〉ハンセン病をめぐる差別の問題

〈第二節〉ハンセン病問題研究の課題

〈第三節〉「らい」から「ハンセン病」へ

〈第四節〉本研究の目的―ハンセン病差別の意味論

〈第五節〉本研究の方法―研究法・資料・構成

 

第一章――民俗学の差別研究について

はじめに

〈第一節〉「差別と民俗」特集号の意義

〈第二節〉ケガレ論および境界論からの把握

〈第三節〉民俗学の被差別部落研究

〈第四節〉「所謂特殊部落ノ種類」をめぐって

小括

 

第二章――ハンセン病に関する基礎的情報

はじめに

〈第一節〉ハンセン病の病理学―その特徴と現在

〈第二節〉ハンセン病に対する現在の認識―若年層と高齢者層を中心に

小括

 

第三章――近代以前のハンセン病

はじめに

〈第一節〉歴史学における研究史

〈第二節〉古代律令制下におけるらい―漠然とした罪として

〈第三節〉中世仏教者の理解およびその影響―罪悪視の強化

〈第四節〉近世医学のらい理解―家に伝わる病気として

〈第五節〉近世諸文献にみるらい理解―近世随筆を中心に

小括

 

第四章――近現代ハンセン病政策の展開と差別の強化

はじめに

〈第一節〉『最終報告書』における提言とその分析

〈第二節〉近代衛生政策の展開―コレラ危機と「衛生」

〈第三節〉ハンセン病政策の濫觴―「癩予防ニ関スル件」の成立

・第一項……ハンセン病問題の顕在化

・第二項……「癩予防ニ関スル件」の成立

〈第四節〉隔離政策の強化―「癩予防法」成立まで

・第一項……強制隔離への懐疑

・第二項……隔離強化の主張

・第三項……隔離がはらむ問題

・第四項……「癩予防法」の成立

〈第五節〉患者と一般社会の分断―「らい予防法」制定まで

・第一項……財団法人癩予防協会の発足

・第二項……戦前の「無癩県運動」

・第三項……継続される「無癩県運動」

・第四項……「癩予防法」の改正

小括

 

第五章――近現代ハンセン病医学とその影響

はじめに

〈第一節〉近代ハンセン病医療史の展開―世界のハンセン病医療

・第一項……らい菌の発見

・第二項……治療可能な疾病へ

〈第二節〉明治初期のハンセン病治療―養生論と科学療法の併用

〈第三節〉病因に関する言説―遺伝説と伝染説の揺らぎ

・第一項……遺伝説と伝染説との間の揺らぎ

・第二項……遺伝説の受容

〈第四節〉治療から隔離へ転換する医師たちの言説―患者の治療から病気の根絶へ

・第一項……伝染説の受容

・第二項……社会に残る揺らぎ

〈第五節〉治療への努力とその実態―隔離への反対と療養所における医療

・第一項……隔離への反対

・第二項……国立療養所におけるハンセン病医療

・第三項……戦後の啓蒙活動

小括

 

第六章――ハンセン病問題の新局面

はじめに

〈第一節〉「ハンセン病問題基本法」 制定の背景

〈第二節〉ハンセン病療養所の将来構想

〈第三節〉療養所退所者の問題

〈第四節〉「ハンセン病問題基本法」 をめぐる問題

 

第七章――ハンセン病と民間伝承

はじめに

〈第一節〉民俗学における研究史の整理と本章のアプローチ

〈第二節〉ハンセン病の方言とその分布について―分布からみる地域差

〈第三節〉患者の放浪とその記録―『癩患者の告白』と四国遍路

〈第四節〉戦前の患者集住の様子―草津湯ノ沢と熊本本妙寺を中心に

・第一項……各地における集住の様子

・第二項……草津湯ノ沢部落について

・第三項……熊本本妙寺について

〈第五節〉拡大する差別視と婚姻忌避―個人から家へ、家から集落へ

・第一項……大正九年『癩部落概況』から

・第二項……民俗誌の報告から

・第三項……肺結核との比較

〈第六節〉超世代的な継承について―俗信・伝説・特殊葬法から

・第一項……病気の原因伝説について

・第二項……特殊葬法について

小括

 

第八章――今後の問題解決に向けて

はじめに

〈第一節〉全体を振り返って
〈第二節〉重層複合的ハンセン病差別

・第一項……重層性について

・第二項……複合性について

〈第三節〉本書の意義と今後の展望

 

主要項目索引

あとがき