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タイトル初版と第二刷(第二版?)との差違
記事No34
投稿日: 2005/04/19(Tue) 16:08
投稿者森 洋介
参照先http://www.libro-koseisha.co.jp/mail_mag/mail_log.php?id=31
 「改訂表」、拜見しました。
 cf.http://www.libro-koseisha.co.jp/shifugo/shifugo-seigo.html
 「第2版で訂正済みのもの」とあるのは、【皓星社通信006】(2004年12月12日)に、「二刷には献辞を添え、スピンをつけました」とある「第二刷」のことですか。
 その「献辞」の内容について等、改訂部分以外にも初版との差違があるなら記載しておいて戴けると幸ひです。

タイトルRe: 初版と第二刷(第二版?)との差違
記事No35
投稿日: 2005/04/19(Tue) 20:22
投稿者皓星社 佐藤健太
ごぶさたしております。
お元気そうでなによりです。
厳密なご指摘、恐縮しております。

>  「第2版で訂正済みのもの」とあるのは、【皓星社通信006】(2004年12月12日)に、「二刷には献辞を添え、スピンをつけました」とある「第二刷」のことですか。

ご指摘の通りです。二刷が第2版のことです。皓星社通信の記述が厳密さを欠きました。どうもありがとうございました。

>  その「献辞」の内容について等、改訂部分以外にも初版との差違があるなら記載しておいて戴けると幸ひです。

扉の裏に「江戸川乱歩と小酒井不木の、語られざる夢に――」として4行ほどの献辞をつけております。書店でご確認いただければ幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

タイトルRe^2: 初版と第二刷との差違
記事No36
投稿日: 2005/04/19(Tue) 23:34
投稿者森 洋介
参照先http://www.libro-koseisha.co.jp/shifugo/shifugo-seigo.html
> 扉の裏に「江戸川乱歩と小酒井不木の、語られざる夢に――」として4行ほどの献辞をつけております。書店でご確認いただければ幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 エエト、圖書館など初版しか置いてない所が多いので老婆心ながら申したのですが、やはり第二版を購入せよといふことですか。書店店頭で筆寫したりしたら營業妨碍でせうし(小生は初版を買ってしまひました)。

 ついでながら。
 「改訂表」にも二箇所誤記があります。
 「163 脚注(263)・12行目 」は正しくは「166 脚注(264)・12行目 」です。
 また「192 〇九二 乱歩書簡・5行目 」の訂正後を「森下氏から巳に」としてありますが正しくは「森下氏から已に」でせう。「已(すで)」は「巳(み)」ではないので。

 「改訂表」に漏れてゐる誤植では、とりあへず四點。
 66〜67頁脚注(八六)所引の「前田河広一郎氏に」は、促音「つ」が小書きにしてない所や「云はれる」とある所などを見ると假名遣は原文通り改めずに引用してゐるやうですが、「であろうとも」「のであろう」「考え方」「という様な」「そうかと」「という考え」「思うもの」等が新かな方式です。初出『新青年』誌を確認してゐませんが、まさか原文ママではありますまい。それとも新かなに改めて引用するつもりが促音と「云はれる」とだけを直し漏らしたのですか。いづれかに統一すべきです。
 90頁脚注(一三二)に所引の正史書翰も舊假名遣ですが、その正史書翰中に更に引用された「西田さんからのハガキ」は、「なのであろう」「あるのだろう」と新かな方式です。「あらう」にすべきでせう。それともこれも原文ママですか。
 226頁脚注(四〇八)所引の喜多村緑郎日記、「かういう事」とあるのは「かういふ事」の誤寫ですか、原文ママですか。
 V 人名索引「ほ」の「本位田準一」の項、「65」とあるは「165」が正しいやうです。

 疑問箇所。263頁脚注(四八一)の文末、「男色を意味する「いわつつじ」は、おそらく、「言わづ通じる忍ぶ恋」を表すものと考えられる」とありますが、「言はず」が正しかるべき所を「言わづ」と表記するのは、無理がありませんか。それともこれはその方面の通説なのですか。岩躑躅の假名遣は「いはつつじ」ですから「いはず(不言)」に通じさせるのは古來和歌にも見られることのやうですが、否定の「ず」を「づ」と誤記するのはなんぼ假名遣に無頓着な昔の人でも犯しにくい間違ひだと思ひます。とにかく、正しい假名遣は「言はず」だし新かな表記なら「言わず」、いづれかにすべき所でせう。

 以上たまたま氣づいた點のみ。特にチェックして讀んだわけではないので、他にまた見つけたら報告します。

タイトルRe^3: 初版と第二刷との差違
記事No37
投稿日: 2005/04/20(Wed) 09:25
投稿者藤巻
>
>  エエト、圖書館など初版しか置いてない所が多いので老婆心ながら申したのですが、やはり第二版を購入せよといふことですか。書店店頭で筆寫したりしたら營業妨碍でせうし(小生は初版を買ってしまひました)。

森さんもご承知のとおり、神ならぬ身の「校正恐るべし」でございます。
そこで、初版に限らずお買い上げいただいた方への「アフタケア」、又、編集側としても不断の「改訂」を続けようと、このページを立ち上げたわけです。

お気づきの点がございましたら、何卒、どしどしご指摘をお願いいたします。

タイトル正誤表追加など
記事No38
投稿日: 2005/05/03(Tue) 18:34
投稿者森 洋介
参照先http://www.libro-koseisha.co.jp/shifugo/shifugo-seigo.html
 「改訂表」に漏れてゐる誤植を三點、一應、追加報告しておきます。

298頁13行目 『行き詰ま』 → 『行き詰り』

300頁9行目 しまはうぢゃ → しまはうぢや

番外一 乱歩書簡 昭和四年四月三日
(小酒井久枝宛改造社・高平始書簡)
一枚目最終行 変わりかた  → 変りかた

 疑問箇所も三點追加。

296頁7行目 人気ジャンルを手に取っている。
*「手掛けて」の意か?

298頁14行目 気勢を吐いている。
*「気勢をあげる」か「気焔を吐く」のどちらかであるべき。

334頁最終行から2行目 増刊を重ねて十七巻に及んでいる。
*雜誌なら「増刊」ですが、全集なのだから「増巻」では?


 以上、瑣末事にて失禮します。

タイトルRe: 正誤表追加など
記事No39
投稿日: 2005/05/03(Tue) 20:13
投稿者原島峰子@皓星社
森さん、追加ありがとうございます(泣)。

ご指摘の点は正誤表に後日追加させていただきます。

疑問箇所については確認後、返答いたします。

タイトルRe: 正誤表追加など
記事No40
投稿日: 2005/05/04(Wed) 01:59
投稿者編者
森さん ご教示ありがとうございました。
しばらく掲示板未確認でご挨拶が遅れ、すみません。

> 334頁最終行から2行目 増刊を重ねて十七巻に及んでいる。
> *雜誌なら「増刊」ですが、全集なのだから「増巻」では?
まったくおっしゃる通りです。お恥ずかしい。

論考箇所の疑問点は、担当者が今ちょっと留守にしているのでお返事少しお待ち下さい。
それから、「前田河広一郎氏に」の引用は、『江戸川乱歩推理文庫』が底本なので、新かなが原則。つまり促音表記などの方が間違いなのです。いずれにせよ、正誤表掲載の必要な事項ですが。

タイトルRe: 正誤表追加など
記事No41
投稿日: 2005/05/07(Sat) 17:34
投稿者小松史生子
森様。ご指摘ありがとうございます。
NO.38でご指摘頂いた誤植につきましては、その通りですので正誤表に反映いたします。
疑問点につきましては、下記の通りでございます。

>「人気ジャンルを手に取っている」→「手掛けている」?
これは、原文ママでいきたく思います。意味するところは、「森鴎外や幸田露伴らが、こうした貸本の人気ジャンル<の本>を手に取っている」ということでございます。
その直前の文章で「涙香や幽芳、または彼等の亜流がものした」とありますから、少し文意が伝わりにくくなっているやもしれませんが、「森鴎外や幸田露伴ら<も>」ではなく「森鴎外や幸田露伴ら<が>」とした文脈から、文意を読みとって頂きたいということでございます。

>「気勢を吐いている」について。
これは明らかに「気炎を吐いている」の打ち間違いでございます。ご指摘、ありがとうございました。
なお、「気焔」ですが、当用漢字では「気炎」のようでございまして、また私も自然に「気炎」と書く人間でありますゆえ、表記は「気炎」で参ろうかと考えております。「気焔」の方が素敵なんですけども・・・vv

このたびはまことに丁寧なご指摘を賜り、深く感謝申し上げます。今後とも、『子不語の夢』をよろしくお願い申し上げます。

タイトルRe^4: 初版と第二刷との差違、Re: 正誤表追加など
記事No44
投稿日: 2005/05/09(Mon) 19:05
投稿者原島峰子@皓星社
参照先http://www.libro-koseisha.co.jp/shifugo/shifugo-seigo.html
森さん

いやいや、昨日は思いがけず出くわして(笑)しまって楽しかったです。
本日、改訂表を更新しましたので、ご指摘について追加レスを。

>  「改訂表」にも二箇所誤記があります。
>  「163 脚注(263)・12行目 」は正しくは「166 脚注(264)・12行目 」です。
>  また「192 〇九二 乱歩書簡・5行目 」の訂正後を「森下氏から巳に」としてありますが正しくは「森下氏から已に」でせう。「已(すで)」は「巳(み)」ではないので。

 ↑ご指摘のとおり、改訂表に反映させいていただきました。

> >  「改訂表」に漏れてゐる誤植では、とりあへず四點。
>  66〜67頁脚注(八六)所引の「前田河広一郎氏に」は、促音「つ」が小書きにしてない所や「云はれる」とある所などを見ると假名遣は原文通り改めずに引用してゐるやうですが、「であろうとも」「のであろう」「考え方」「という様な」「そうかと」「という考え」「思うもの」等が新かな方式です。初出『新青年』誌を確認してゐませんが、まさか原文ママではありますまい。それとも新かなに改めて引用するつもりが促音と「云はれる」とだけを直し漏らしたのですか。いづれかに統一すべきです。
>  90頁脚注(一三二)に所引の正史書翰も舊假名遣ですが、その正史書翰中に更に引用された「西田さんからのハガキ」は、「なのであろう」「あるのだろう」と新かな方式です。「あらう」にすべきでせう。それともこれも原文ママですか。

すみません、来週、返答いたします。

>  226頁脚注(四〇八)所引の喜多村緑郎日記、「かういう事」とあるのは「かういふ事」の誤寫ですか、原文ママですか。

原文確認しました。「かういふ事」が正しいです。

>  V 人名索引「ほ」の「本位田準一」の項、「65」とあるは「165」が正しいやうです。

 ↑その通りです。

> >  疑問箇所。263頁脚注(四八一)の文末、「男色を意味する「いわつつじ」は、おそらく、「言わづ通じる忍ぶ恋」を表すものと考えられる」とありますが、「言はず」が正しかるべき所を「言わづ」と表記するのは、無理がありませんか。それともこれはその方面の通説なのですか。岩躑躅の假名遣は「いはつつじ」ですから「いはず(不言)」に通じさせるのは古來和歌にも見られることのやうですが、否定の「ず」を「づ」と誤記するのはなんぼ假名遣に無頓着な昔の人でも犯しにくい間違ひだと思ひます。とにかく、正しい假名遣は「言はず」だし新かな表記なら「言わず」、いづれかにすべき所でせう。

こちらも来週、追って返答いたします。

>  「改訂表」に漏れてゐる誤植を三點、一應、追加報告しておきます。
> > 298頁13行目 『行き詰ま』 → 『行き詰り』

ご指摘の通り、修正。

> > 300頁9行目 しまはうぢゃ → しまはうぢや

これは、スミマセン。第二版で修正済みです(改訂表のモレでした)。

> > 番外一 乱歩書簡 昭和四年四月三日
> (小酒井久枝宛改造社・高平始書簡)
> 一枚目最終行 変わりかた  → 変りかた

ご指摘の通りです。

やや煩雑なレスになってしまい恐縮ですが、ご指摘ありがとうございました。

タイトルRe^3: 初版と第二刷との差違
記事No46
投稿日: 2005/05/16(Mon) 21:03
投稿者皓星社 佐藤健太
森様

一部ご返答が遅れまして申し訳ありません。さて66〜67頁脚注(八六)「前田河広一郎氏に」についてですが、底本は『江戸川乱歩推理文庫61 蔵の中から』(講談社、昭和63年)です。ご指摘にありますとおり、促音の「つ」は小書き、「云はれる」は「云われる」です。私のチェック漏れで、恥ずかしい限りです。

263頁脚注(四八一)の文末、「男色を意味する「いわつつじ」は、おそらく、「言わづ通じる忍ぶ恋」を表すものと考えられる」について、脚注執筆の村上裕徳さんに聞きました。村上さんにかわりましてご返答申し上げます。
たしかに正しくは「言わず通じる」とするところですが、「いわつつじ」に引っかけ、あえて「言わづ」としたとのことです。言葉遊びのようなものとお考えいただければ幸いです。江戸時代の狂句などではこのような言葉遊び的な仮名遣いもあるので、村上さんは「言わづ」のママがふさわしいとお考えです。

簡略ながら失礼いたします。

タイトルRe: 正誤表追加など
記事No47
投稿日: 2005/05/23(Mon) 00:19
投稿者森 洋介
参照先http://www.libro-koseisha.co.jp/shifugo/shifugo-seigo.html
 「改訂表」の、「2005年5月18日改訂」分まで見ました。
 色分けして下さるのは結構に存じますが、貧乏人の哀しさ、生憎プリンターに黒インクしか入れてをらず、モノクロ專用にしてゐまして、印刷すると色合ひの判別がつかなくなる始末(そろそろ買ひ換へなければ)。
 改訂箇所もこれだけ多くなってゐますし、正誤表は本に挾んでおきたいものです。できれば「改訂表」をB5二つ折位にした別版を作って、新規出荷分に挾み込みにしたりPDFにでもしてこのサイトで印刷用として公開したりして戴きますと、購入者に重寶すると思ひます。圖々しい望みでせうか。
 それから、先に申した、90頁の「あろう」二箇所に就てはどうなりましたか。

タイトルRe^2: 正誤表追加など
記事No48
投稿日: 2005/05/24(Tue) 21:57
投稿者皓星社 佐藤健太
森様

いろいろと有益なご指摘をありがとうございます。

>  改訂箇所もこれだけ多くなってゐますし、正誤表は本に挾んでおきたいものです。できれば「改訂表」をB5二つ折位にした別版を作って、新規出荷分に挾み込みにしたりPDFにでもしてこのサイトで印刷用として公開したりして戴きますと、購入者に重寶すると思ひます。圖々しい望みでせうか。

上記の件ですが、追って対処させていただきます。

>  それから、先に申した、90頁の「あろう」二箇所に就てはどうなりましたか。

この「あろう」ですが、先日調査を行った際に、私が見落としておりました。今週末に調べましたうえでご返答申し上げます。

タイトルRe^2: 正誤表追加など
記事No50
投稿日: 2005/05/25(Wed) 01:24
投稿者編者
森様

 重ねてありがとうございます。
>  それから、先に申した、90頁の「あろう」二箇所に就てはどうなりましたか。

 本来ならば佐藤さんの調査にまかせるべきなのでしょうが、時間がかかりそうなので、答えちゃいます。引用の西田書簡の部分も旧かな、つまりご指摘通り「あらう」「だらう」が正しいのです。
ついでですから申しますけれど、この箇所などはこの本の弱点ではあるのです。凡例の六1「引用も含め、江戸川乱歩『探偵小説四十年』による情報については個別の注記を省き、「自伝」ないしは『四十年』の略称を適時に使用した」にあたる箇所で、注釈者が「適時」とは判断しなかった例ということになるのですが、データとして不親切であることは否めませんね。

 それから、改訂表の末尾に謝辞を入れてあるのですが、そこに森さんのお名前も加えさせていただいてよろしいでしょうか。開いた牢さんのように、明らかにハンドルネームとわかるお名前ではないので、一応お伺いする次第です。

タイトル送信ミス
記事No52
投稿日: 2005/05/25(Wed) 01:27
投稿者編者
すみません。送信ミスしました。
No.50はなかったものとお考え下さい。

タイトルRe^2: 正誤表追加など
記事No51
投稿日: 2005/05/25(Wed) 01:25
投稿者編者
森様

 重ねてありがとうございます。

>  それから、先に申した、90頁の「あろう」二箇所に就てはどうなりましたか。

 本来ならば佐藤さんの調査にまかせるべきなのでしょうが、時間がかかりそうなので、答えちゃいます。引用の西田書簡の部分も旧かな、つまりご指摘通り「あらう」「だらう」が正しいのです。
ついでですから申しますけれど、この箇所などはこの本の弱点ではあるのです。凡例の六1「引用も含め、江戸川乱歩『探偵小説四十年』による情報については個別の注記を省き、「自伝」ないしは『四十年』の略称を適時に使用した」にあたる箇所で、注釈者が「適時」とは判断しなかった例ということになるのですが、データとして不親切であることは否めませんね。

 それから、改訂表の末尾に謝辞を入れてあるのですが、そこに森さんのお名前も加えさせていただいてよろしいでしょうか。開いた牢さんのように、明らかにハンドルネームとわかるお名前ではないので、一応お伺いする次第です。

タイトル正誤表+餘談・本位田準一のこと
記事No53
投稿日: 2005/05/25(Wed) 21:56
投稿者森 洋介
参照先http://www.libro-koseisha.co.jp/shifugo/shifugo-seigo.html
 お答へありがたうございます。 

>  それから、改訂表の末尾に謝辞を入れてあるのですが、そこに森さんのお名前も加えさせていただいてよろしいでしょうか。

 「開いた牢」氏の多大な貢獻と竝べてわざわざ名を出されると却って氣が引けます。特に記さない方が結構に存じます。尤も、掲示板に姓名を記した以上、それを轉記されるといふなら止められる筋合ひでもありませんから拘はりません。いづれなりと御隨意に。 
 それより「改訂表」最下段の「更新日 05.3.4 」といふのを直した方がよくはありませんか。 
 なほ「改訂表」で追加して戴いたうち、「本位 田準一」と苗字の途中で半角空きになってゐるのはなぜでせう。
 因みに本位田準一は昔から何となく興味がある人物で、以前昭和四十年代の『民間傳承』のバック・ナンバーに目を通してゐたら、本位田が「横溝武夫君追悼昔話」といふのを執筆してゐて(No.273、一九六六年七月)、意外な見つけものでした。他にも關係者で松浦泉三郎「「実話雑誌」の会」といふ記事もあったりして(No.274、一九六六年十月)、何だか民俗學の雜誌らしくもないと思ったら、そもそも『民間傳承』發行所の六人社といふのが、本位田を中心に戸田謙介を經營者としてほか横溝武夫ら六人が集まって作った社だったといふ經緯があったやうです。これはNo.269(一九六五年七月)の野村和三郎追悼集に本位田準一がちょっと書いてゐますが、それがなぜ民俗學書出版に移行したのやら。誰かこの邊、詳しく調べてゐる人があると出版史にとどまらず面白くなりさうなんですが。岩田準一のこともあるし、『犯罪科學』(武侠社)の後繼誌は『人情地理』でしたし、探偵小説趣味は意外に民俗學の近傍にあった――と、さう思ふのは私一個の讀書嗜好を投映しすぎなのでせうか。餘談でした。

タイトルRe: 餘談
記事No54
投稿日: 2005/05/27(Fri) 00:41
投稿者編者
森様

お返事とご教示ありがとうございます。
ご謙遜のお気持ちはわかりますが、やはりお願いできればと存じます。森さんの指摘は「多大な貢献」と思っていますが、森さんの場合を離れて、仮に「多大」ではない、些細な貢献であったとしても、やっぱり有り難いことと思います。そんな、これから先の、いろんな人たちへの謝意を表したいという気持ちによるものですので……。

「横溝武夫君追悼昔話」とは興味深いですね。知りませんでした。探偵趣味と民俗学と言えば、最近藤澤衛彦の雑誌『伝説』を何冊か買ったのですが、これがやっぱり探偵趣味で面白く、こういう流れは少し調べないとな、と思っていたところでした。たぶん私が不勉強なだけでしょうけれど。折口信夫先生という人もいますし、最近では大塚英志さんも、専攻は民俗学なのですよね。そうそう、大塚さんと言えば、今度昭和文学会で講演をお願いしています。6月11日於早稲田大学旧小野講堂……って、森さんは当然ご存じでしょうし、もしかすると宣伝の機会を振ってくれたのかな、と思ったりしますが、さすがに考え過ぎでしょうか。

タイトル「江戸川乱歩旧蔵江戸文学作品展」
記事No55
投稿日: 2005/06/03(Fri) 23:30
投稿者森 洋介
参照先http://opac.rikkyo.ac.jp/oshirase/edobungaku.html
 名前の件は、既に申しました通り、強ひてこだはりませんのでそちらの御随意に。お任せします。 

 餘談ついでに、藤澤衞彦は面白いと思ひます。雜誌『傳説』(日本傳説學會)は、昔やはりバラ數册を買った後で、複刻版(有明書房)が出てゐるのを知ってそちらのセットを入手しました(重複分、お讓りしませうか)。あれにも探偵趣味がありましたか。久しぶりに讀み直す興味が湧きました。
 他に藤澤衞彦では、雜誌『獵奇畫報』(日本風俗研究會)も揃へてしまったものの、とにかく著書の多い人で中々全貌は掴めません。これはもう、もっと購入資金に惠まれた熱心な蒐集家にやって貰ひたい……。ただ、私藏する藤澤著書のうち、一册だけは價値があるかも。印刷中押收されて存在しない筈の發禁本『變態交婚史』がなぜか安く手に入りまして、しかも、同書の城市郎氏所藏本を他の〈變態十二史〉シリーズ各卷と共に寫した書影ではこの卷だけ表紙裝丁が安っぽく後から綴ぢ直した外觀なのに、私藏本はちゃんとシリーズと揃った表裝になってゐるのです。いっぺん誰か詳しい方に知らせて見て貰ふべきではないかと思ってゐます(が、一體どなたに教へを乞へばよいやら)。

> そうそう、大塚さんと言えば、今度昭和文学会で講演をお願いしています。6月11日於早稲田大学旧小野講堂……って、森さんは当然ご存じでしょうし、もしかすると宣伝の機会を振ってくれたのかな、と思ったりしますが、さすがに考え過ぎでしょうか。 

 ハイ、買ひ被りです。昭和文學會の大會日程すら存じませんでした。『新青年』研究會のサイトで宣傳していらっしゃるのも氣づかずにゐて、おっしゃられてから確認したほど、學會消息には疎い次第で。 
 http://sinseinen8.at.infoseek.co.jp/topr.htm
 しかし調べてゐたら同日、六月十一日は、重なって日本近世文學會(於立教大學)で「江戸川乱歩と近世資料 ―旧蔵書に関する一考察―」といふ發表もあるやうです。 
 http://wwwsoc.nii.ac.jp/nkb/doc/taikai.html
 これに合せて立教大學では「江戸川乱歩旧蔵江戸文学作品展」を十日から十二日まで開くのだとか。勿論、御存知でせうが。
 http://opac.rikkyo.ac.jp/oshirase/edobungaku.html
 恰度池袋に別の用事(民俗學關係)がありもしますし、失禮ながらいまいち食指の動かない特輯の昭和文學會は御免蒙って、近世文學會+亂歩藏書展の方へ行かうかと思案してをります。惡しからず。  

タイトルRe: 「江戸川乱歩旧蔵江戸文学作品展」
記事No56
投稿日: 2005/06/05(Sun) 02:50
投稿者編者
 あっはは。食指動かんですか。確かに森さんのご関心ご嗜好からすれば、近世文学会かもしれませんね。丹羽さんには一度会ったこともあり、昭和がなければ私も聞きに行きたいのですが。旧蔵作品展の方は、他に用もあるので10日に行こうと思っていましたが。
 『変態交婚史』も『猟奇画報』の揃いも、さすがですね。広くて深そうな領域なので、最近は古書市でも手にとらないようになっておりました。私の及ぶところではないな、と。『伝説』を買ったのは、この領域久しぶりの衝動買いだったのですが、恥ずかしながら有明書房の復刻を知りませんでした。復刻データをあらためて見たら、大正15年6月〜昭和2年2月とありますね。私が買ったのは実は合本されたものなのですが、中に2冊、奥付に日付のない「1巻1号、7月」と、大正7年9月の日付のある「1巻2号、10月」という号が入っていて、これはどういうことかしらと思っています。復刻の解説を読むと出てくるのかな。いや、これは自分で調べればいいことで、ご教示を願っているわけではありませんが。

タイトル餘談・藤澤衞彦『傳説』
記事No58
投稿日: 2005/06/05(Sun) 17:58
投稿者森 洋介
参照先http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=AA11405338
>  あっはは。食指動かんですか。確かに森さんのご関心ご嗜好からすれば、近世文学会かもしれませんね。

 昭和文學會大會は、二上洋一氏がどんな話をするのか聽いてみたくも思ひましたが、どうも出不精で、もう一押しふた押し何かないと足を運ぶ氣が滿ちません。近世文學會も、丹羽氏以外の發表に興味があるわけでもなく、當日池袋で用事があるのが一番の理由だったりします。

>  私が買ったのは実は合本されたものなのですが、中に2冊、奥付に日付のない「1巻1号、7月」と、大正7年9月の日付のある「1巻2号、10月」という号が入っていて、これはどういうことかしらと思っています。復刻の解説を読むと出てくるのかな。

 複刻版『傳説』は、解説も前書きも何も無い、ただ複寫して綴ぢただけの代物です。しかも、創刊號目次だけ明らかに新活字で飜刻してあるがそれに就て何の斷りもなく、最終號となった原本第三卷第二號(獺祭號、昭和二年二月)の卷末には「傳説第一卷・第二卷總目次」が附いてゐたのに複刻版ではそれも無くなり、さらにその第三卷第二號の裏表紙は誤って第三卷第一號のものになってゐる、といふ杜撰ぶり。有明書房は安易な複刻屋だったやうです。
 それはさておき、おっしゃるのはNACSIS Webcatで檢索すると下記に該當します(但し「傳(デン)」を「傅(フ)」に誤記して「傅説」とする)。
 http://webcat.nii.ac.jp/cgi-bin/shsproc?id=AA11405338
 「注記: 記述は1巻2號 (大7.10)による ; 1巻2號 (大7.10)には湖沼號の表示あり」と見えます。
 『傳説』第一卷第四號(大正十五年九月一日發行)の後付け廣告には、「第一次 傳説」としてその「湖沼號」を載せてゐます。廣告文に曰く、「第一次「傳説」は大正七年の發行にかかり、識者間には夙に希覯書を以て目されてゐましたが、偶然の機會で殘部を發見したので、本會直接申込者に限り頒布いたしてをります。/然し創刊號は既に品切、湖沼號亦、八月二十五日現在殘部僅に七十九部を算するに過ぎません」云々。
 つまり複刻版のあるのは第二次『傳説』だったわけです。第一次(全二册?)は國會圖書館にも所藏しない稀覯書ですから、それを含む合本(第二次も合せて?)とは、いい買ひ物をされたやうで、羨ましく思ひます。機會があれば拜見させて戴きたいものです。

 到底「及ぶところではないな」、とは私もよく思ひ知らされます――下記などを見ると。
 http://www.kanwa.jp/xxbungaku/Magazine/Magazine.htm
 http://www001.upp.so-net.ne.jp/yokai/b-ryoukigaho.htm
 でも、亂歩の弟である平井蒼太(通)のことを考へても、エロ・グロ・ナンセンス時代の獵奇嗜好には民俗(族)學志向が伏流してゐるやうで、この領域の探偵趣味との親和性は蔑ろに出來ないやうに感じられ、精々自分なりに少しでも古書勘を養っておかうと思ふ次第でして。

 追伸、この掲示板では「自分の投稿記事を修正・削除することができます」(ページ最下部參照)。

タイトルRe: 餘談・藤澤衞彦『傳説』
記事No60
投稿日: 2005/06/07(Tue) 12:17
投稿者編者
森様
いろいろとお付き合いきただき恐縮です。
二上先生は『少女まんがの系譜』が上梓(奥付は6月10日発行)され、今私は読んでいるところですが、後代の研究、批評のために必要なことを、という記述姿勢が明確で、編集者としてジャンルに関わった立場からの自己限定には頭が下がります。また学会では「本とは別の話もしますからね」と、気を配ったお言葉も頂戴しています。
大正7年の『伝説』は、いつでもお見せしますので、必要な折りはご連絡下さい。富士川游、木村鷹太郎、蘆谷蘆村などが書いています。お話では稀覯書らしく、ちょっと喜んでいます。
投稿の修正についても、ご教示ありがとうございました