[リストへもどる]
一括表示
タイトル乱歩書簡の翻刻について
記事No15
投稿日: 2005/02/16(Wed) 02:00
投稿者開いた牢
「子不語の夢」の刊行有難うございます。牢が開いた様で、感謝感激雨霰です。早速、拝読させて頂きましたが、乱歩書簡の翻刻で一寸?!がありましたので、書き込みをさせていただきます。素人のことですので、的外れがありましたら御寛恕をお願いします。

大正十三年
〇〇四 乱歩書簡 十一月二十六日
21頁 此上もない思慕の念を(持ち続けて)ゐたのです。 → 持続けて
24頁 小説といふには余りに(小理屈)ばかり多く、 → 小理窟
24頁 それに探偵小説を面白くする(秘訣)とも云ふべき、 → 秘決

〇〇七 乱歩書簡 十二月五日
30頁 其内いゝものが出来ましたら新青年(許り)でなく → 計り
31頁 右不敢取(の)御礼旁々 → 右不敢取御礼

〇〇八 乱歩書簡 十二月二十九日
32頁 (それは)森下さんの → これは
32頁 「筋に重きを置いたドイル風のもの」(という)ご注文に、 → といふ

大正十四年
〇一〇 乱歩書簡 一月二十四日
35頁 松野一夫、(神部)正次の諸氏に → 神戸
36頁 (宇野浩二氏)、加藤武雄氏なども → 宇野浩二、
37頁 つい世間の考へに(気兼ねがして)ゐた訳ですが、 → 気兼ねして
37頁 (主な)人の名前なども聞いて → 重な

〇二〇 乱歩書簡 三月二十日
57頁 便所の(探索)の日本的なこと → 捜索
57頁 これからは先生などの(ご尽力)で → 御尽力
58頁 講演旅行(など、)活躍する。 → などゝ
  
〇二二 乱歩書簡 四月九日
63頁 (御参会)か知りませんが、 → 御承知
63頁 いづれ(詳報)申上げます。 → 詳敷く

〇二九 乱歩書簡 五月十一日
76頁 虫の(いい)お願ひですけれど。 → いゝ

〇三二 乱歩書簡 五月十八日
81頁 (初会)十一人でした。 → 都合
81頁 (杉原君)のは、思いつきは → 松原君
81頁 小生が(審判員)になつて → 審判官
82頁 二つの探偵(小説)を作り → 小品

〇三七 乱歩書簡 六月十五日
88頁 一昨日父を伴つて(山中に参り)ました。 → こちらへ帰り
89頁 (更には)かけてゐますけれど → 楽には
89頁 小生は(その)事件をつい知りませんでしたが → この
90頁 つい御報告を怠つて(参り)ましたが → 居り
90頁 まだ(ご承諾)も得てゐないのに → 御承諾

〇四〇 乱歩書簡 六月十九日
97頁 (探偵小説)に対する御議論は → 又探偵小説
98頁 舌の根が(話と)呼吸の出来兼ねる程 → 殆と

〇四一 乱歩書簡 七月七日
100頁 探偵小説を(盛んに)する為には → 盛に
101頁 どうも柄にない為手がつけられず(そのまま)に → そのまゝ

〇四三 乱歩書簡 七月十六日
105頁 中身がそれに(添はない)のを → 沿はない
105頁 若し(売れれば) → 売れゝば

〇五四 乱歩書簡 八月九日
125頁 尤も、会ヒは(厳収)して居りませんから → 徴収

〇五七 乱歩書簡 八月二十一日
131頁 サンデーニユース第三号(御手許)に参りましたか。 → 御手元

〇五九 乱歩書簡 八月二十六日
138頁 昨夜(芝東園)ホテルで小集を催し、 → 苦楽園
138頁 で、これまでの経過報告を兼ね、右発行の(ことと)、 → ことゝ
140頁 4、お好きな作家二三名、その(代表作品) → 代表的作品

〇六二 乱歩書簡 九月五日
144頁 馬場孤蝶氏が来阪して(居られ)まして、 → ゐられ

〇七四 乱歩書簡 十月二十五日
161頁 御宅へ御伺ひする(心積)で居ります。 → 心胆

〇八五 乱歩書簡 十二月十七日
175頁 大変御無沙汰(致しまして)相済みません。 → しまして
176頁 余り皆から行きつまりだと云はれる(ので)、 → のと

〇八七 乱歩書簡 十二月二十九日
182頁 昨夜神戸のユーナイテツト活動会社の(チヤプリン)の → チヤプツリン
182頁 その代り稚気満々の代物で、御恥しい(こと)です。 → 次第
182頁 何の腹案もなく(困つて)おります。 → 弱つて

大正十五年
〇九二 乱歩書簡 二月二十五日
191頁 御心遣ひの(段)万謝致します。 → 程
191頁 (勉強したい)と思ひます。 → 勉強もしたい
192頁 (御賛承)を希望します。 → 御賛成
192頁 結末は国枝氏と御相談(できる)便宜も → 下さる
192頁 国枝氏には森下氏から(色々)申上げたか → 已に
192頁 オイ来たと引受けた(ものの) → ものゝ

昭和二年
一〇四 乱歩書簡 三月二十四日
214頁 何卒(御諒承)下さいませ。 → 御諒察

タイトルRe: 乱歩書簡の翻刻について
記事No16
投稿日: 2005/02/16(Wed) 19:07
投稿者皓星社
丁寧に読んでいただき感謝です。
いっぱいあって、恥ずかしいのですが、多くは出版社の「誤植」かとおもいます。ある意味、CD=ROM をつけることのリスクでもありますが、こうして「改訂」作業を読者の方と共働出来るのはインターネットやデジタル技術の発達した、まさに新しい時代ならではとおもいます。
いま「リスク」と書きましたが、まったくの冗談で、こうした反応をいただけることを心から喜んでいます。
ありがとうございます。

タイトルRe: 乱歩書簡の翻刻について
記事No17
投稿日: 2005/02/17(Thu) 13:23
投稿者浜田雄介(編者)
開いた牢様
ご教示ありがとうございます。現在、翻刻担当者を中心に確認作業を致しておりますが、多くのご指摘は、まさにご指摘通り訂正すべき箇所であるようです。検討結果の報告についてはしばらく(数日)お待ち下さい。確定しましたら正誤表に掲載させていただきます。

タイトルRe: 乱歩書簡の翻刻について
記事No20
投稿日: 2005/02/21(Mon) 08:28
投稿者小松史生子
このたびは、貴重なご指摘ありがとうございました。ご指摘を頂きまして検討をいたしました結果、訂正するべき箇所を正誤表に掲載することになりました。
その他、以下のご指摘に関しましては、説明を申し上げます。

▼〇一〇 乱歩書簡 一月二十四日
Q:35頁 松野一夫、(神部)正次の諸氏に → 神戸
A:ご指摘の文字は、確かに「江戸川乱歩」の「戸」などとよく似ており、また大正十五年二月二十五日(本書191頁)の「神部」は別の字体になっております。しかし一方で、大正十四年七月十六日付書簡(本書105頁)の「二千部」の「部」の表記などは、やはり「戸」によく似た字体が使われております。つまりこれは乱歩の崩しのクセで、「部」の崩しに関する書き分け意識が働いていない結果と考えられます。したがいまして、ご指摘箇所の「神戸」はこのままの字で「神部」を表しているという判断です。


▼〇七四 乱歩書簡 十月二十五日
Q:161頁 御宅へ御伺ひする(心積)で居ります。 → 心胆
A:こちらは、確かにつくりの形が「積」よりも「胆」に近く見受けられます。が、偏の崩しに未だ疑問点が残るため、さしあたり現状はこのまま残し、更なる検討を続けたいと思います。

▼○八五 乱歩書簡 十二月十七日
Q:182頁 その代り稚気満々の代物で、御恥しい(こと)です。 → 次第
A:ご指摘を受け検討いたしましたが、未だ解釈の難しい不明字ということで、確とした訂正はこのたびは見送ることにいたします。更なる検討を続けたいと思います。

以上でございます。上記3点以外の修正点は、ご指摘に従い、順次正誤表に反映させます。
書簡翻刻検討という作業にご協力くださいましたことに、深く御礼申し上げます。特に、苦楽園ホテルのご教示は、乱歩の大阪時代ならびに探偵小説の大阪に於ける活動やそのネットワークの様相をうかがわせるもので、今後の乱歩研究一般に役立つことと思います。ありがとうございました。

タイトルありがとうございました。
記事No25
投稿日: 2005/03/03(Thu) 11:35
投稿者本多正一
 開いた牢さま

 このたびはたくさんの貴重なご指摘、まことにありがとうございました。さすがヒライタロウさまならではのお読み取りと、編集スタッフ一同、感服しつつ不明を恥じ入っております。
 現在、最新正誤表を作成中で、数日内にアップが可能と思います。たいへん申し訳ございませんが、いましばらくお待ちください。このたびは本当にありがとうございました。重ねて御礼を申し上げます。

タイトルご報告です。
記事No26
投稿日: 2005/03/04(Fri) 21:42
投稿者本多正一
参照先http://www.libro-koseisha.co.jp/shifugo/shifugo-seigo.html
 開いた牢さま

 本日、ご指摘の箇所を正誤表の欄に「改訂表」としてアップさせていただきました。たいへん遅くなり申し訳ございません。
 今回のご投稿、編集スタッフ一同、たいへん勉強になりました。今後も何かお気付きの箇所がございましたら、どうかよろしくお願いいたします。取り急ぎご報告を申し上げます。本当にありがとうございました。

タイトル今後ともよろしくお願いいたします
記事No27
投稿日: 2005/03/07(Mon) 09:02
投稿者皓星社 佐藤健太
開いた牢 様

本多正一さんからご報告がありましたが、改訂表をアップいたしました。小社の作業が遅く、表への反映が遅れました点、お詫び申し上げます。今後も何かお気づきの点ございましたら、ご教示のほどお願い申し上げます。ありがとうございました。