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刊行のごあいさつ
ごあいさつ 私どもは20年来、入園者の皆様の作品集を手がけてまいりました。入園者の皆様の作品は、水準も高く、隔離・差別
・偏見の実態を訴え、二度とこのような悲劇をおこさないためにも、広く一般の人々に読んで欲しいと考えて普及に努力してまいりました。しかし、入園者の皆様の作品の多くは自費出版の形態をとり、著者周辺への配布・献本にとどまり、全国の読者が、その出版の事実を知り入手することが困難でした。当社は、それを何とか解決するべく、可能な限りの書店への配本に務めてまいりましたが、単発出版では訴求力も弱く、宣伝営業活動費を充分にかけられないのが実情でした。
以上の点を鑑み、個々の単行本としてではなく、叢書としてまとめることで、こうした問題を解決すべく大手書店(紀伊国屋、全国62店舗)と、公共図書館への販売力のある図書館流通
センター(TRC)とメディア(図書新聞)などの協力を得て、出版物の宣伝・広告・書評、書店店頭での常備、図書館での採用などの体制を確立することができました。
それが「ハンセン病叢書」です。 |
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豊穣な作品群 ─いま読むことの意味─ |
鶴見俊輔 |
ハンセン病患者・元患者であること、さらにハンセン病に関わることは、国境をこえる。このことに注目したのは詩人大江満雄で、彼は『アジア詩人』の主宰者として、理論からではなく、助けあいをとおしてハンセン病がアジアをむすぶと主張した。
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加賀乙彦 |
隔離され世間から締め出されていた環境において、多くの個性が必死で文学に生の証を求めた。その場が日本の文壇とは幾重にも遠ざかっていたために、多くの作品は正当な評価を受ける機会も逸していて、北条民雄や島比呂志などわずかな例外を除くと世に知られていない。これはまさしく文壇の不作為の結果
である。 |
大岡 信 |
短詩形文学は、こういう人々の苦しみ、嘆き、ささやかな希望や喜びを映し出す手段として、実に大きな役割をはたしてきた。それは、より長い構造を持っている詩(現代詩)においても同じことで、それらの膨大な作品群を読むことは、人を意想外な広さをもった心の世界に導いてやまない。 |
(第2560 図書新聞より抜粋)
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ご購入 |
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詳しくは書影をクリックしてください。 |
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鈴木時治画集
生きるあかし
―ハンセン病療養所にて―
寺島萬里子 編集
発売中
A5判変形・並製・60頁
定価2,500円+税
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「私は心で絵を描く。私にとって絵を描くことは生きる証。人間としての自分の照明だ。」――鈴木時治
「彼の語る言葉は時に詩のように美しく、時にどきりと胸を刺します。」――寺島萬里子
本書には、35点の絵画と著者の詩、編者が直接ききとった著者の言葉によって一冊の本となっている。
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歌集とエッセイ 心ひたすら通り
浅井あい 著
発売中
四六判・上製・312頁
定価2,000円+税
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「最近私は自分の過去についてしみじみ思うことが多くなりましたが、しかしそれと共に、あと幾年もないだろう余生を、ここに改めて生き抜いていきたい思いにも駆られるのです。」――あとがきより
浅井さんの作品は人間らしさとは何かを訴えかけてくる。国の政策のよらしめるところではあるが、世間の冷視、侮蔑に堪えながら、心は気高く、豊かに、そして暖かく文学表現を結実させている。時代の批判精神もたしかであり、決してひとりの閉鎖的なところにとどまっていない広がりがある。常識的な幸福感を超えたこの達成は、どれだけの苦しみを噛みしめたものか。口述を記録されたエッセイと共に味わうことで、この一冊を通
しての感銘はさらに深い。同情などを求めているのではない。ひとりひとりがしっかり生きよ、と訴えかけてくるのだ。――水野昌雄(オビより)
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向日葵通り 田中美佐雄歌集
田中美佐雄 著
発売中
四六判・上製・360頁
定価2,500円+税
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明治41年生まれの著者は2002年11月、94歳になる。 ハンセン病の発病が昭和3年、13年11月に草津の栗生楽泉園へ入園。30歳のときである。以来、60年以上を療養所で過ごしてきた(過ごさざるを得なかった)著者が、視力を失い、病気に耐えながらも詠み続けてきた短歌を本書にまとめた。
氏の作品は、その大部分が日々の生活から題材を得ています。確かにそれは、我々の概念から見れば、狭い世界かも知れません。しかし広さ狭さの尺度は、視点を変えれば、甚だ覚束ないものであることが判ります。
生命の神秘は、全ての生物に一様であるごとく、我々には単調と思われる日常生活の中にも、深遠な世界が広がることを、氏の作品が気付かせてくれるのです。まさしく心眼ならばこそ、身辺に広がる宇宙が見えるのでしょう。――国立療養所栗生楽泉園副園長・並里まさ子(オビより)
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エプロンのうた 香山末子詩集
榎本初子 編
発売中
四六判・上製・306頁
定価2,000円+税
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韓国に生まれた著者は、渡日3年後の1945年、23歳の時に草津の栗生楽泉園に入園。ふたりの子供との別
れ。肢体障害。失明。苦しみばかりの毎日から、言葉を紡ぎだしはじめたのは49歳の時だった。生前に残した3冊の著作を娘の手により再編集。
異国語(日本語)で口述する彼女の詩が、どれほど豊かな情感に支えられているか、読者は驚きをもって確かめうるだろう。(大岡
信)――オビより |
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「らい予防法」で生きた六十年の苦闘
第一部 少年時代・青年時代
沢田二郎 著
発売中
四六判・上製・250頁
定価2,400円+税
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昭和10年、小学五年生でハンセン病を発病。2年後、草津の栗生楽泉園に入園。一度、印刷業開業で社会復帰をするも妻が倒れ、社会復帰断念。
第一部には、現在は駿河療養所で第二部以降の執筆活動を続ける著者の、発病から、療養所で送るほかなかった青年時代をおさめる。
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家族の肖像
平野暉人
発売中
四六判、上製
定価2000円+税
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日本の現代史に光をなげる
ハンセン病のため、はなればなれになったひとつの家族が、ここにえがかれている。感情をおさえた文章によって、一家の肖像があらわれる。
著者の発病を医師にしらされる場面、そこまでつれていった父が、わが子に、もうつとめ先にもどらなくていい、まっすぐ家にかえれという。愛情のこもったその言葉づかい。
九十年つづいた悪法のかげにその家族の姿があった。(鶴見俊輔)
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とがなくてしす
―草津重監房の記録
沢田五郎
発売中
四六判、上製
定価1800円+税
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とがなくてしす(増補改訂版)
隔離撲滅政策の象徴である草津の「特別病室(重監房)」の実態を、自らの見聞に基づき後世に伝える執念の記録。
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初期文芸名作選
ハンセン病に咲いた花 戦前編
盾木 氾
発売中
A5判、上製
定価3000円+税
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北條民雄・内田静生・光岡良二・麓花冷・東條耿一ら、文学サークル五人衆をはじめとする戦前期ハンセン病文学を代表する作品群を同時代を生きた編者が編む。
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初期文芸名作選
ハンセン病に咲いた花 戦後編
盾木 氾
発売中
A5判、上製
定価3000円+税
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厚木叡(光岡良二)・北江良雄(谺雄二)・氷上恵介・小泉孝之・宮島俊夫らによる戦後、人権・予防法闘争のなかで生まれた作品群。
創作することが闘いであった時代のアンソロジー第二集。 |
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刊行予定作品の例 *現在、25点進行中
○たたかいの日々 鈴木幸次(栗生楽泉園)著
療養所での「奉仕作業」という名目の強制労働。その実態を著者の経験から綴る。
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そのほか、多数進行中
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